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ソネット 32


         W.シェークスピア


無作法な死がわたしの骨に埃をかぶせて

わたしに十分満ち足りた日が訪れた後 もしあなたが

亡くなったあなたの恋人の貧しくも未熟なこれらの詩行を

たまたま再び読み返すことがあるとしたら 

それらの詩行を後々のすぐれた詩人の詩行と比べてみなさい

わたしの詩行があらゆる詩人によって凌駕されるにしても

より恵まれたひとびとの卓越した筆力によって超越されるわたしの韻文のためでなく

わたしの愛のためにそれらを保存しておいてほしい

おお、つまりわたしの愛の思いだけは残してほしい

わが友の詩才が時と共に上達したのであったら

その愛はより高貴な家柄をもたらし

より装備の整った隊列の中を行進することができただろう

だがかれは亡くなってしまって現今の詩人たちがかれよりすぐれた詩を書いている

わたしはそれらの詩をその巧みな表現スタイルに注目して読むが

かれの詩はと言えば かれのわたしへの愛を感じるために読む



Sonnet XXXII


          W. Shakespeare


If thou survivemy well-contented day,

When that churlDeath my bones with dust shall cover

And shalt byfortune once more re-survey

These poor rudelines of thy deceased lover,

Compare themwith the bett'ring of the time,

And though theybe outstripped by every pen,

Reserve them formy love, not for their rhyme,

Exceeded by theheight of happier men.

O! thenvouchsafe me but this loving thought:

'Had my friend'sMuse grown with this growing age,

A dearer birththan this his love had brought,

To march inranks of better equipage:

But since he died and poets better prove,

Theirs for their style I'll read, his forhis love'.



by nambara14 | 2018-11-28 15:17 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)

遠い秋



       

          遠い秋


悪ぶって よいこいじめた 遠い日は 苦みとともに 瞼に浮かぶ


昼過ぎて 小雨落ち来る デッドエンド 前に突堤 後ろに幻影


哭き暮れて 笑い飛ばして 照れつつも 釣り人はただ 浮沈を見つむ


荒海の ブイに止まりて 鳴く鳥の 憂いは深く 立ち去りがたし


どこまでも 焦がれるものに せかれつつ 人影もない 路傍に迷う


必ずや また会うことを 誓いつつ これが別れと なれば悲しき


言葉なき 語らいあれば 饒舌な しぐさもありて 秋は深まる


遠来の 客ともなれば 饗応の 膳を忘れて 語り続ける


わが夢は 風と共に去りぬ 落魄の 幻影ばかり 彷徨える今Gone with the wind.


夕陽の 落ち行く先に 祠あり 抜け行く影は 闇に消えゆく


ふふふふふ 不安な気持ち 吹っ切れた 篩にかけた 粉末のごと


あるだけの 勇気しぼりて 踏み出せば くじけてもなお 起き上がる意気


ははと言い へへと聞くのも 新生の へのへのもへじ 泣くしかできぬ


ともすれば 憂いに沈む 秋なれど 気ままに浮かぶ 雲でありたし


美しき 立ち姿にて いくたびも カーテンコールに 応えるプリマ


立ち上がり 叩く拍手も 割れるごと この感激を 永遠にと思う


ほかならぬ ライブに宿る 死のごとき 激しき今を ともに生きつつ


ひとりごつ ことばはなくて もうまいの かすみのなかに たちすくみつつ


よしよしと 赤子をあやす 暇もなく 過ぎる日夜に かける言葉は


野放しの 獣のような 激痛は 緩和の気配 いくばくもなし


抽象の 気うつにあらず ぎくぎくと 痛む足先 引きずりて行く


ハロウインと 無縁なままに 郊外の 街を歩けば 秋風騒ぐ


秋空の 罪にはあらず 人はみな 重荷を背負い 罰受く旅人


新しき 光の中に 忍び入る 闇の兆しを 払いのけたし


かなしみに 日差しを当てて ふくらませ 赤い風船 空高く上ぐ


静かなる 父を忍びて ときたまに 母を連れては 秋の野を行く


新しき 命を見れば あらためて 神々しさに 言葉失う


物思う 秋の訪れ 風の音 吹かれるままに 千切れゆく雲


おおよそは あなたを信じ ともにある 騒ぐ秋風 言葉少なに


世の中は 荒れ世あれよの 暴れ馬 しがみつきつつ まっとうに生く



by nambara14 | 2018-11-22 21:46 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)


ソネット 31


        W. シェークスピア


会うこともないので亡くなったとわたしが思った多くのひとびとに

あなたの心は愛される

そこでは愛の神キューピッドが支配し、その愛のすべてのしるしや

もはや葬られたとわたしが思ったすべての友人がそこには存在する

神聖にして追従的な溢れる涙は

親しくも敬虔な愛をわたしの目から盗み取られた

それは死者への利息として、今こそ支払われる涙なのだ

ただあなたの中に隠されていたひとびとは立ち去ったのだが

あなたは埋葬された愛が住む墓所だ

そこには亡くなったわたしの恋人たちのトロフィーが掛けられている

その恋人たちはかれらが持っていたわたしの愛のしるしをあなたに与えた

多くのひとびとに与えられた愛は今あなただけのものだ

わたしが愛したかれらのイメージをわたしはあなたの中に見る

そしてあなたは(かれらもまた)わたしのすべてを所有するのだ


Sonnet XXXI


      W. Shakespeare


Thy bosom is endeared with all hearts,

Which I by lacking have supposed dead;

And there reigns Love, and all Love's loving parts,

And all those friends which I thought buried.

How many a holy and obsequious tear

Hath dear religious love stol'n from mine eye,

As interest of the dead, which now appear

But things removed that hidden in thee lie!

Thou art the grave where buried love doth live,

Hung with the trophies of my lovers gone,

Who all their parts of me to thee did give,

That due of many now is thine alone:

Their images I loved, I view in thee,

And thou (all they) hast all the all of me.



by nambara14 | 2018-11-20 10:27 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 30


          W.シェークスピア


甘美な沈黙の思いに向けて

過去を思い起こす時

わたしは求めてきた多くのものが手に入らなかったことを嘆く

そしてわたしの浪費された貴重な時間を古い悲しみによって新たに嘆き悲しむ

そうすれば終わりのない死の夜に隠されたたいせつな友人たちのために

滅多に流したこともない涙を目に溢れさせることができるだろうか?

そして愛が長い時間をかけて帳消しにした悲しみを新たに嘆き

消え失せた多くの悲しい光景という犠牲を悼むことができるだろうか?

そうすればわたしは過ぎ去った悲しみを嘆き悲しむことができ

すでに哀悼の意を表された哀悼の悲しい収支を

悲しみごとに重々しく集計することができるだろうか?

あたかも支払っていないかのように新たに哀悼を支払うというように

だがわが友よ、しばしの間あなたのことを思えば

あらゆる損失は補償され悲しみは終わるのだ。


Sonnet XXX


       W. Shakespeare


When to thesessions of sweet silent thought

I summon up remembranceof things past,

I sigh the lackof many a thing I sought,

And with oldwoes new wail my dear time's waste:

Then can I drownan eye, unused to flow,

For preciousfriends hid in death's dateless night,

And weep afreshlove's long since cancelled woe,

And moan theexpense of many a vanished sight:

Then can Igrieve at grievances foregone,

And heavily fromwoe to woe tell o'er

The sad accountof fore-bemoaned moan,

Which I new payas if not paid before.

But if the while I think on thee, dear friend,

All losses are restor'd and sorrows end.



by nambara14 | 2018-11-12 11:26 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)

秋深し


    秋深し


泣きじゃくる 鬼の子もいる 芒の野

幾重にも 濾しとる敵意 新酒酌む

愛すれば 切なさ募る 秋の暮れ

刈り入れの 後のぼっちの 滑り落つ

俯瞰する 地球は季節 取り交ぜて

雨季乾季 四季の彩る 五大陸

秋の裏 朽ちた表札 掛け替える

秋深し わたしはなにを するひとぞ

なぜかしら 秋に誘われ 徘徊す

銀杏を 踏んでしまった 土踏まず

だれひとり 気づかぬうちに 実は熟し

ひとり行く 笑みを忍ばせ 柿を取る

瞑想と 妄想交互に 芒の原

秋晴れは 語彙の如くに 広がりぬ

憂愁を 振り払っては 葡萄摘む

満月の 光くすしく 魂奪う

倒れても 秋の夕日に 起こされる

うっすらと 菊の香りの 女形

旅行けば 弁当をやる 栗おこわ





by nambara14 | 2018-11-10 11:51 | 五七五系短詩 | Comments(0)


ソネット 29


W.シェークスピア


幸運からも人々からも見放されるとき

わたしはただ自分の見捨てられた状況を嘆き悲しむ

そして無益な叫びによって耳の聞こえない天を悩ます

そして自分を見て自分の運命を呪う

より希望に満ちたひとのようでありたいし

容姿にめぐまれたひとあるいは多くの友人にめぐまれたひとのようでありたい

このひとの技能やあのひとの度量を望む

わたしが最も楽しめることによってさえほとんど満たされることはない

そのうえこれらのことを思えばわたし自身が嫌になる

たまたまわたしはあなたのことを考え、次いで自分の状況を思う

夜明けに暗鬱な地上から舞い立ち、天国の門で讃美歌を歌う雲雀のように

なぜならあなたのやさしい愛を思い起こせばわたしは富裕になるので

わたしの状況を王たちと交換することさえ拒むのだ



Sonnet XXIX


       W. Shakespeare


When in disgrace with fortune and men's eyes

I all alone beweep my outcast state,

And trouble deaf heaven with my bootless cries,

And look upon myself, and curse my fate,

Wishing me like to one more rich in hope,

Featured like him, like him with friends possessed,

Desiring this man's art, and that man's scope,

With what I most enjoy contented least;

Yet in these thoughts my self almost despising,

Haply I think on thee, and then my state,

Like to the lark at break of day arising

From sullen earth, sings hymns at heaven's gate;

For thy sweet love remembered such wealth brings

That then I scorn to change my state with kings.



by nambara14 | 2018-11-06 19:10 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)