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感情線

行き着かぬ 家をさがして 迷う街

あきらめず 銀杏の道を 折り返す

秋晴れの 沼の辺の 聖墓苑

語り合う 一年前と その前後

別れ来て 切れ切れになる 感情線
by nambara14 | 2013-11-17 20:41 | 五七五系短詩 | Comments(0)

本能

ということで
週末だから
体の本能に任せれば
走り出して
宙返りだ
いや正確には
宙ぶらりんだ

頭を下げた拍子に
勢い余って街路樹に
突っ込んだ
妙な具合で
体の上下もわからず
態勢の立て直しようがない

斜めに見える空と
電柱が見える中じっとしていると
ふいに体が軽くなった
だれかの腕が
背中を抱えて
引っ張り出してくれた

礼を言う間もなく
恩人はいなくなった
なんだかばつが悪い気がしたが
得したような気がしないでもない
週末だから
本能に任せるのもいいよね?
by nambara14 | 2013-11-15 10:03 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

先端医療

磁場電場 記録解析 診断士

病変の 部位をくまなく 撮影す

ロボットの 精密動作 手術中

素粒子の 集中照射 腫瘍消え

再生の 心筋シート 貼り付ける  

3D プリンターにて 再生す
by nambara14 | 2013-11-15 09:49 | 五七五系短詩 | Comments(0)

現実

前後ろ 上下左右に 秋暮れる

一人行く 道尽き果てて 知るべなし

止まれとは 聞こえぬものか 時の耳
by nambara14 | 2013-11-08 14:13 | 五七五系短詩 | Comments(0)

理想

年経れば 時は迫りて 穏やかに 迎えを待ちて 支度を済ます

あれこれと し残せしこと 多けれど 成し遂げしこと 幾許かあり

まずまずの 一生だったと つぶやいて ではさようならと 別れを告げる
by nambara14 | 2013-11-08 13:53 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

照れくさい

秋の日の 思いめぐらし 躓けば 一陣の風 舞い踊り立つ

この願い スマホにさえも 伝ええぬ 無味無臭無色 無力無際限 

吹きすぎて なんの便りも 届けない 無事の知らせを 風に託せど

 
by nambara14 | 2013-11-04 20:07 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

かく乱

冷涼の ふるえ伝わる 開始線

韋駄天の 走り乱れて 臍を噛む

青年の 眠りは深し 星巡る 



 
by nambara14 | 2013-11-03 21:44 | 五七五系短詩 | Comments(0)

最近の詩集評(5)

小林坩堝詩集「でらしね」。「銀色の街を往く、行きどまりの日常に、足踏みしているおれ、が視える。歩行歩行歩行。」視ることへの過剰な固執が言葉を見つけきれない。言い換えても言い換えても言い当てられない。「言葉では軽すぎる沈黙では重すぎる。」根無し草のような「踊り子に静止はない。」

吉田博哉詩集「夢転」。生死のあわいも生者と死者の隔ても人間と動物の区別も夢と現実の境も、曖昧な幻覚の中にある。詩篇は一言で言えばみな奇談なのだが、言葉が極めて巧みで妙にリアリティがあり諧謔とともに限りない人間存在の悲しみを感じさせる。豚に生まれ変わる「お告げ」など、特に胸に迫る。

山口敦子詩集「芭蕉 古の叙事詩」。芭蕉への深い敬意と思慕が俳句と詩のコラボとして結実した。著者の思い出や経験が芭蕉の句や足跡と自ずから融合して、落ち着いた詩情を醸し出す。半ばエッセイ風に織り込まれる史実やエピソードや知識が詩篇の奥行を深くさせ、読者の感性と知性に静かに訴えてくる。

吉田義昭エッセイ集「歌の履歴書」。詩人でありジャズ歌手でもある著者の詩や歌への思いがさまざまな思い出やエピソードとともに語られる。特に急性心筋梗塞を患い死を強く意識することで自分にとって真にかけがえのないものがなにかが見えてきたようだ。詩、エッセイ、歌への新たな意志が示される。

川島完詩集「森のガスパール」。著者にとって森は身近な遊び場だった。だが、江戸の牢破りを匿った森だったことを知って、森は馴染みの場から深く重いものになった。そこから、森は内外のさまざまな文学や芸術とつながるものとなり、小悪魔意識によるフィクションとしての物語を生み出させた。

渡辺みえこ詩集「空の水没」。幼い頃から死を意識せざるを得なかったようだ。特に父や母や肉親の死が繰り返し語られる。生きることの悲しみや痛みが正確に描かれるとともに、生あるものが死を迎える時の密やかな覚悟が透明な空のように示される。「草原の青空」の中で死んでいくシマウマの瞳のように。

指田一詩集「砂浜 蕪村句を読む」。「砂浜」と「蕪村句を読む」との二部構成の詩集。Ⅰ「砂浜」では、「砂浜に建てた小屋に暮らす男と女とこども。海でとれる海藻や貝を食べ、フネを浮かべる」といった描写を通して、どんなに文明が進んでも人間の原点は食べたり飲んだり眠ったりするところにあるという認識が示される。Ⅱ「蕪村句を読む」では、「蕪村」の句を引用しながら現代社会のありようを多彩に描き出す。ⅠⅡを通じて、高度に発達したかに見える現代社会にひそむ危うさへの文明論的なアプローチが詩集を厚みのあるものにしている。著者の詩人かつ造形家としての感性が発揮されている。

竹内敏喜詩集「灰の巨神」。詩の鉱脈の飽くなき探求者として、古今東西の文学や歴史や逸話などを渉猟するとともに、多くの素材を現代へと取り込んで、新たな詩の方法を試みる。私的な思いも垣間見える「回復期」、技巧を凝らした「善人」など、詩篇の幅の広さは、今後益々の発展を期待させるものである。

中島悠子まとめる「覚書 吉野登美子」。詩人八木重吉の妻であり、歌人吉野秀雄の後の妻であった吉野登美子の伝記を通して、八木重吉の詩や吉野秀雄の短歌そしてそれぞれの人となりや人間関係が丁寧に描かれる。一人の女性像が浮かび上がる。著者の吉野登美子への尊崇の念が確かな詩情をまとめあげることにつながったと言えよう。

倉田良成詩集「山海物語集拾遺」。実体験とさまざまな文学書からのエピソードとが融合されたかたちで語られる。物語は、あの世からやって来る疫神や御霊の仕業と思しき人間の苦悩や怨恨に満ちていながら、同時に災厄を引き受けつつ健気に生きていこうとする人間の前向きな思いが感じられるのが魅力だ。
by nambara14 | 2013-11-01 22:50 | 詩集・詩誌評等 | Comments(0)