人気ブログランキング |

<   2013年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧

秋の日


空がどこまでも広がって行って
マニラの裸足の少年の顰を払い
ヒマラヤを超えてヤクのしょぼくれた目を輝かし
シリア難民の岩陰に光を送り
カイロの広場で流された血を乾かし
サファリパークで襲われた飼育員の骨を葬り
軍事基地の銃の乱射現場を確かめ
ファヴェーラ育ちの少女が踊る稽古場の窓辺を照らし
南極の基地で過ごす隊員の顔を日焼けさせ
ぐるっと地球を取り囲んでしまうと
突然空は垂直に遠ざかり始める
やがて空は暗くなり冷たくなり
無数の空の重なり合うグラデーションに溶け込む
膨張し続ける果てに向かって光速で突き進み
無限大の陥穽に囚われてしまったかと思った瞬間
ひと切れの空がちぎれて回れ右をして
猛然と元来たルートを辿り始める
by nambara14 | 2013-09-30 22:46 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

消しゴム君

ノートのはしに鉛筆で書いたあなたの似顔絵
似てないってすねたから消しゴムで消してしまった

万年筆で書いたラブレター
修正インクで一か所直して出したら
全部を書き直すのが常識だとしかられた

壁のいたずら書きは誰が書いたのか知らないけど
さっと壁塗りをして消し去った
そこだけ白っぽくなりすぎたと言われて
塗りなおしたらますます目立ってしまった

赤さびの浮き出たぶらんこが子供たちの遊び場にある
ペンキを塗って「ペンキ塗りたて」って張り紙をしたのに
おしりにべったりペンキをつけた子供がいるらしい

海の向こうではなにやら不穏な情勢だとうわさされている
はたしてミサイルだったりしたら
遠隔消しゴム装置を発射して
ねこそぎ消し去ってしまおう

力余って自分の左腕も消してしまった
お絵かきソフトで
修復することにしたいが
へたくそだから
だれかに書いてもらいたいな

だれか絵のうまい人いませんか?

-----------------------------------------------------------

An eraser

Your portrait that I drew on a corner of a paper
of a notebook
You complained about it that it was not like you
So I erased it

A love letter which I wrote by pen
I whiteouted a part of it
You got angry ,saying that I should have rewritten all of it

A scribble on the wall
Although I didn't know who did it
I gave it a lick of paint
Someone said that the part looked too white
I gave another lick to it ,only making it more prominent

A red rusty swing in the playground
I painted it and put a paper beside it
Saying that it was wet
But some children may have sat on it

There is a rumor that the situation is voratile in the oversea areas
If missiles are prepared to launch
We will destroy all of them
Using the remote erasing system

I deleted my left arm by mistake
I want to recover it using drawing kit
But I am not good at drawing
So I want someone who is good at it

Is there anyone who is good at drawing around here?
by nambara14 | 2013-09-24 16:14 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

はにかみ

きょうは晴れた
あしたは曇るらしい
明後日は雨らしい
明々後日は台風が来て
明々々後日は台風が去って
明々々々後日は快晴になるという

秋は虫の音
夏の蝉の声を引き継いだ
冬は厳しい寒さが襲うそうだ
春は、まだ遠い

振り返れば
青い空に白い雲が浮かんでいる
思い出せば
どしゃ降りの雨の中を
前のめりに歩く人影が見える

そのうち 台風が過ぎたころ
あのひとを誘って
高台にあるレストランに行ってみよう
はるか遠くに大きな船が見えるだろう
その向こうに
七色の旗がひるがえっているだろう
そのずっと向こうには
はにかむ子供の顔が見えるようだと
囁いてみよう
by nambara14 | 2013-09-17 15:39 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

台風

叩かれて 揺られて濡れて 身を潜め

行き行きて はだける胸に 騒ぐ風

痕跡を 辿る道行 泥の川
by nambara14 | 2013-09-16 11:38 | 五七五系短詩 | Comments(0)

意識

宇宙が生まれてからの来歴を解き明かすなんて
だれが想像しただろうか?

感覚のない無機的な変容なら
観察する目には追い切れないだろう

ナレーターのいないドキュメンタリーフィルム
暗黒の中にかすかに聞き取れる歌声

いま精密に計算された機械の撃ち出す弾丸は
人間の意図を引き受けて正確な弾道をたどり始める

どのように欲求は生まれてきたのだろう?
変異が積み重なって一体どこへ向かのだろう?

目の前にある肉片を見つめながらむしゃぶりつきたいが
もうとっくに訳が分からなくなっている

自分が生まれてからの来し方さえおぼろげになってきて
途方に暮れていると言い放ちたい気分なのに

とんでもない原初の瞬間の相転移などというものが
茶の間のテレビ番組で詳しく解説されている

混沌の泥遊びに興じているつもりの子供の目の前に
3D画像がくっきりと二重らせん構造などを浮かび上がらせる

デリート デリート デリート 怖気づいて何度もリモコンのボタンを押すが
こんなときに限ってちっとも言うこと聞かない

できることは目をつぶって泣きじゃくることだけだと
うすうす分かっているが

それをやっちゃおしまいだとなんとなく感じているから
苦笑いでごまかし続ける 

いつまでできるかはわからないから
秩序も無秩序も同じだよねえと言いながら日が暮れる
by nambara14 | 2013-09-11 14:47 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

Candid

Imagine the tiniest particle
How does it look?

Imagine the largest space
How does it look?

Everything is correlated
Everything appears and disappears

Now I am alive
Then I am dead

What makes it possible
That everything is coexisting?

Or how is the relationship between
Continuity and discontinuity?
by nambara14 | 2013-09-10 15:04 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

不幸中の幸い

炎天も 凌ごうとする 姿勢あり

つまずいて かすり傷なら よかったね

愚痴ばかり こぼし合っては 長寿園 
by nambara14 | 2013-09-10 09:33 | 五七五系短詩 | Comments(0)

復活

切っ先の鋭く尖るメスらしきまばゆいままに見つめ続ける

身代わりの無ければ自ら引き受ける闇の底より光射し来る

このたびも骰子を振りては惑いつつ導きの手にすがりて歩む
by nambara14 | 2013-09-07 18:28 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)