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<   2012年 08月 ( 10 )   > この月の画像一覧

眼鏡狂い



     眼鏡狂い


素通しのめがね
覗くとなんでも見えるが
塀の向こうは見えない
靄がかかれば視界不良
遠くは視力が届かない

薄い色のサングラス
少々のちがいはあるが
素通しと大した違いはない

濃い色のサングラス
強い日差しの下では便利だが
曇りの日は視界が悪くなる
視線を隠すにはいいが
気持ちも伝わらない

偏光レンズのめがね
乱反射する光をさえぎって
眼にはやさしい
ぎらぎらと煽り立てる威力もそがれる

青いグラスのめがね
なんだか顔色も青ざめて
街のようすも沈んで見える
海も空も区別がつかない

赤いグラスのめがね
火事だ
おちつかなくて
危うい気分になる

黄色いグラスのめがね
点滅はしないが
注意信号を連想してしまう

色も遮光も屈折もいろいろ試して
めがねめがねめがね
飛び出すめがねで
肝冷やし
近視、乱視、老眼で
眼精疲労
双眼鏡でにやにやし
望遠鏡で息をのみ
顕微鏡であっという間に
雲隠れ
by nambara14 | 2012-08-29 13:09 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

まちがいさがし



  まちがいさがし



塾したすいか
蕪りつき
アイスクレーム
ねめそこね
うなぎのばか焼き
舌づつみ
書中見舞に
内輪を送り
流し素面
のど腰がよく
爺爺蝉も
泣きかわし
お凡過ぎれば
風 鈴し
食欲象身
ぽっちゃり駿河
脂肪通知は
鯔かない
by nambara14 | 2012-08-17 14:41 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

音波の解析



     音波の解析



不規則な凹凸のあるビルに向けて
万遍なく音波を当てて返ってきたものを集める
コンクリートあり レンガあり ガラスあり

見えないもので何度探りを入れても
失敗談がふえるばかりだと言いたいが
雇われの身では無言の行といったところで

ましてや大きな揺れで半壊状態のビルなど
データのとり漏れも随所にみられて
捨て置けという措置が決まったようだ

狭い路地を往復する鐘の音のように
確実に記録された膨大なデータ
パソコン処理すれば一瞬にして

極秘の画像が浮かび上がる
次々と移り変わるブラウザーがふと停止する
たちまち復旧不可能という表示が出る
by nambara14 | 2012-08-16 19:21 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

どっしっし



    どっしっし


しんから痛いよ
どかどんどん

連日連夜
身を切るつらさ

ファイト失くして
卒倒したよ

ラッパの音で
心臓蘇生

どうにかしたいよ
レンコンの穴

見失ったよ
ファー・ラウエイ

粗末な部屋にも
ラジオが鳴って

心配性は
どっしっし
by nambara14 | 2012-08-15 16:48 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

三角関係



      三角関係


ぎりぎり誠意を尽くしてみても
似合いのカップルと言われても

心をつかまにゃ始まらない

玉突きだってかまわない
ひとり入れ替え もひとり入れ替え

秘術とあらば伝授を乞う

投げるバトンを三つに増やし
目先を変えて隙を突く

夜陰にまぎれて変装したり
声色真似てセレナーデ

出たり入ったり混乱させりゃ

惚れ薬は効果てきめん
滅多なことでは外さない

日の出とともに飛び起きて
女を攫え 横抱きにして

どさくさまぎれの勝ち戦
by nambara14 | 2012-08-14 18:45 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

ロンドン・オリンピック



      ロンドン・オリンピック


楽しく歌って踊ること以外はしないよ
あちこちにいるボランティア
ロンドン橋は落ちなかったね
テムズの流れを渡るボート
愛のあいさつがあふれる
ビッグベンが時を打つ
アンダーグラウンドからひとが出て来るわ
二階建てバスから見える宮殿の近衛兵
在位六十年ジュビリーを終えた女王陛下
金融の街を走り抜ける多彩な色の足
三連覇のタックル
目にもとまらぬ剣の先
鳥のように 魚のように 獣のように
蜂のように 妖精のように 戦士のように 
めまぐるしい十七日間
一回戦敗退でも悪びれない女
義足で疾走したリレー選手
背中の側彎を乗り越えて伝説になった男
涙あり 怒りあり チャレンジあり 抗議あり
輝くものすべてが金ならず
閉会式で流されたジョンレノンの映像
隠された悲鳴や苦悶がしずかに思い起こされる
終わりよければすべてよし
by nambara14 | 2012-08-13 17:06 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

至福



     至 福


思い切り手足を伸ばして
深呼吸をして
いちばん遠いところへ心を飛ばし
いちばん深いところへわだかまりを捨てる

どこまでも視力がよくなり
声が届いて体が軽くなる
最後の息を吐ききったとき
体は透き通る

思うように空を飛べる透明人間だ
はじめは軽く足を蹴って浮き上がる
我が家の近所が真下に見える
ぐるりと旋回してみる

日本中を飛び回り
地球上も隈なく見た
透明なからだはますます膨張して
太陽へと接近してゆく

伸びきった体は質量もなく
色も匂いも声も感触もなくなる
だれにも別れをつげることもできないまま
太陽をつつむと完全蒸発した
by nambara14 | 2012-08-11 14:57 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)



     顔


たそがれ時の町はずれの道を
向こうから走ってくるものがいる
近づくにつれ影は濃くなり
すれ違う時にはほとんど輪郭だけしか見えない
通り過ぎようとしたとき閃光が顔に当たって
幼い子供であることがわかる
見たことのある顔だと思いながら
振り向くと子供はもう走り去ってしまっている

夜更けて家への道をとぼとぼと歩いていると
突然現れた者から声をかけられた
この先は土砂崩れで通行禁止になっている
Uターンした車のヘッドライトが顔を照らす
あまりにも見慣れた若者の顔だ
いったいここはどこなのか

真夜中過ぎて眠りについたあと
トイレに起きたついでにキッチンに行くと
窓際に立って外を見やっている何者かの姿が見える
自分自身がそこにいるような気がして
思わず水の入ったコップを取り落とした

朦朧とした意識の中で
枕元にいるひとの顔が目に入った
見たことのない顔のようだが
見たことがあるような気もする
まだ夜は明けていないようだ
抗しきれない眠気に襲われる
浮かない顔の風船が浮かび上がってきて
しきりにこちらに近づこうとする
目覚めれば周りにはだれもいない
by nambara14 | 2012-08-10 19:05 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

言葉の力



     言葉の力


目覚めを誘う小鳥のさえずり
お早うとあいさつする間合い
手を触れ合わせる電磁力
コーヒーの香りが匂い立って

体温が上昇するにつれ
弾力に満ちた筋肉がしなる
目指す方向へ放たれた見えない矢
いち早く察知した獲物が逃走する

斃れた体の横で泣きじゃくる声
これ以上離れられない地点へ
送信した暗号だけが
未知の頭脳によって解読される

熱く熱せられた鉄の塊の上の溶岩の流動
回転軸がぶれはじめれば
メトロノームが間延びする
午後の疾走が長い影をひきずる

疲れて帰ってきた二人が
何事もなかったかのように
夕食のテーブルを囲む
お休みと言えば夜のとばりが下りる
by nambara14 | 2012-08-08 22:05 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

因果関係


 
     因果関係


涙が出ると悲しくなる
血を流すと傷つけたくなる
こだまが聞こえると叫びたくなる
抱きしめると愛が生まれる

人がいるから宇宙がある
暦があるから太陽がある
月が見えるから夜がある
雷が落ちたから天地がある

迷うから分かれ道に立つ
子供がいるから親がいる
針を飲むからうそをつく
無事があるから事件が起きる

笑い出すから楽しくなる
首をひねるからわけがわからない
口角泡を飛ばせば議論がはじまる
終わりが来れば終わりだ
by nambara14 | 2012-08-06 19:27 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)