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怒りの日



     怒りの日


寒い日が続いても
花は咲き
雨ばかり降っても
蝶は孵化する

梅雨が来る前に
日食を観測し
真夏になる前に
納涼計画を立てる

台風が来ても
秋は実り
地震が起きても
朝は来る

紅葉の頃には
ひっそり温泉につかる
宴席が設けられる陰で
だれかが息を引き取る

淡々と日々を過ごし
流れゆく川を見る
鳥の行方は知れず
噴火予知が告げられる
by nambara14 | 2012-06-14 19:04 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

半生



    半 生


赤い布
ベージュのスカーフ
青い影
黒い木霊

調律未実施 
切れた絃
詰まった穴
壊れた金具

標本取り違え
倍率不十分
老眼鏡の鼻先
防犯カメラ

生殖器官再生手術
アンチエイジング
心神耗弱
閉店時間大幅超過
by nambara14 | 2012-06-13 16:08 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

非常ベル



     非常ベル


電車のいびきが聞こえる
老骨をふるわせて
レールのカーブに耐えている

電車の悲鳴が聞こえる
無機的なスペースの往還に
遠慮なくのしかかられて

身動き取れない姿勢で
圧迫痛や捻転力に対処していると
有機的な意識さえ遠ざかる

窓から見えていた景色も
突然閉ざされ目のやり場に困って
いくども空想の車両を流し続ける

電車の非常ベルが鳴る
一体なにを発見したというのか
一刻も早く着かなければならないのに
by nambara14 | 2012-06-12 11:11 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

暗号



    暗 号


アルミニウム色の光の点滅
曇り空の地平線の境目にそって
じっくり確かめようとするが
雲が濃すぎてフォローしきれない

最初に背中を押したのは誰だろう
こんがらかったドミノ倒しの過程で
互いにすり抜けあったり衝突したり
生まれたり消えたりしながら

呼びかける声 振り上げる手
手旗を操り のろしを上げる
合言葉を決めて 敵味方だけは
決して誤ることのないように

あ 光った 暗号表どおりに
点点点 滅滅滅 点点点・・・
デヴァイスを総動員して
ただちに救援チームを派遣せよ!
by nambara14 | 2012-06-11 13:56 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

虚人



     虚 人


整った顔立ちや穏やかな表情や
育ちのよさを感じさせる物腰や
きびきびしたしぐさや
身だしなみのセンスのよさや
耳触りの良い声や上手な話し方や
しなやかな歩き方や
気前の良さや
気配りや
進んで雑用をする態度や
思いやりや
つらい時もじっと耐え
うまくいった時も驕らず
人知れず学び調べ準備をし
十分ある蓄えは浪費せず
ときにその場を盛り上げるために
パーティーを開催する
ひとりでふさぎこむことがあっても
人前では無理してでも快活にふるまう
落ちのない落語のようなエピソードをつぶやき
参加者のひとりひとりの貢献を披露する
照れるひとびとの目に喜びを読み取る
ひとりでに空は晴れわたり
自然に歌声が生まれる
踊りだすひとの群れができて
楽器を演奏する時間がやってくる
疲労が蓄積すれば木漏れ日の中で休息する
ざわざわと揺れる枝葉のもとで
いくにんものひとびとが安らう
どうにかして暮らしているのだろう
根掘り葉掘りはしないし
暴力は使わない
余計な気も使わず
争いの芽は摘み
子供たちに声をかける
老人を笑わせる手品を習っている
困っているひとびとを見過ごせない







     
by nambara14 | 2012-06-08 18:52 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

言葉



    言 葉


書きたいことを書いたら
あまりに長くなったので
読み返して半分に削った

つぶやきたいことをつぶやいたら
どんどん表示されたので
あわてて削除した

思うままは裸すぎる
言いたいママはうるさすぎる
したいままは醜すぎる

言葉を飲み込み
しぐさを抑え
沈黙を保つ

衣食住
言葉を使わずに
日月火水木金土 

極力即物的に
紆余曲折
生老病死

もうこらえきれない
男と女 なんでもいい
言葉で 言ってくれ
by nambara14 | 2012-06-06 14:41 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

代役



     代 役


駅の階段から転げ落ちて
手足を複雑骨折
代役を立てたら
急性胃腸炎で入院

代役の代役をやっとさがして
なんとかやりおおせたが
刃傷沙汰を起こして
ばっさり顔を切られてしまった

代役の代役の代役は
なかなか見つからないので
台本を書き換えて
その場をしのごうとしたが

あまりの不入りで
仲間割れして大ゲンカ
袋叩きでポイしあって
完全に演目は崩壊した

厄介な事態にため息をつくと
だれかが石段を上がっていく
おみくじを引いたら大吉 
やっぱり代役を見つけよう
by nambara14 | 2012-06-05 14:31 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

照れ笑い



   照れ笑い  


くよくよする毎日
よく考えてから
動こうとするが
立ち上がれない

なぜこの世界があるのか
自分がいるのか
手におえない問を
振り払えない

広がったり縮んだり
生まれたり滅びたり
喜んだり悲しんだり
争ったり仲直りしたり

こもりきった部屋から
抜け出した顔と顔が
たまたま出会うと
照れ笑いをしてしまう
by nambara14 | 2012-06-03 21:29 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

ナーベラ


   
     ナーベラ


亜熱帯の日差しの下で
ぐんぐん育つへちま
若いやつを細く切って
炒めて食べると天国だ

そう言っていたひととも
音信が途絶えて久しい
パイナップルの畑では
一個百円で買って食べた

台風がサトウキビをなぎ倒して
細長い甘酸っぱさを残す
デイゴの花が目に浮かぶ
ゴーヤチャンプルーだよ

三線に合わせて思い思いに
カチャーシーを踊るひとびと
泡盛で酔いが深まるにつれ
すべてがナーベラの中に収まる
by nambara14 | 2012-06-02 13:30 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

光陰



   光 陰


まず姿を消す
次いで空を飛ぶ
水中を自在に動く
地下深く潜る

自分の容積を捨て
重量を落とし
遺伝子を抜き去り
生命を離れる

地球を七回り半
太陽へは近づきすぎず
アンドロメダを横目で
宇宙の果てまで到達する

単位は混乱し
座標は取り違え
史実は消え失せ
音量だけが増大する

色彩は無限に分割され
ピントは合わせきれず
流れの傍らで
呆然と立ちすくむ

任意の時と所で
忽然と姿を現し
居場所を見つけえぬまま
さまよい続ける光陰のしっぽ
by nambara14 | 2012-06-01 13:58 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)