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子供たちの輪


     子供たちの輪


(どっちが早く走れるか)
横になって歩いていく子供たち

(あたし髪編んでもらった)
学校へ向かう子供たち

(ちゅくちゅく)
手をつないで広がって

(らんらん)
ランドセルが揺れて

(おっとっと)
子供の川を縫うように

(こつこつ)
靴音高く追い抜いて

(ねえ)
手と手を

(学校まで)
子供たちがつながった

(あら)
先生たちが校庭に出てくる

(ねえ)
子供たちが輪になって相談する

(この道をどこまでも行けば)
海までつながる

(船を浮かべる)
帰っておいで

(太平洋に向かって)
海鳥が鳴き交わす

(島影も見えない海の上)
どんどん手がつながれる

(ハワイまで)
マウリの子供たちも

(アメリカ本土まで)
白人のこどもたちも

(大西洋を渡って)
アフロヘアの子供たちも

(つながる)
夜と昼の境目を越えて

(先生は)
唖然として立ち尽くす

(もうすぐ)
4万キロ

(地球を)
4千万人の子供たちが

(ぐるっと)
つないだ


 
by nambara14 | 2012-04-27 09:59 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

言葉を取り逃がした日



     言葉を取り逃がした日



ずっと黙っていたら
だれかがおいと叫んだ
うんと答えようとしたが
だれも見当たらない

空耳は悪い兆候だから
もう一度確かめてみたが
少なくとも家の中には
人影はない

テレビをつけると
これでもかとばかりに
ざわめきがこぼれだしてくる
いったいなにがおもしろいのか

ひとりで新聞を広げると
かしゃかしゃする音がやけに大きい
髪の毛が床に落ちるのさえ聞こえそうだ
電話が鳴ったら仰天するだろう

台所から焦げ臭いにおいがするので
あわてて見に行くと
トースターの中で細い耳が焦げている
沸かしたミルクで無理やり頬張る

濁り酒少々
水風呂浴びて
布団に横になろうとしたとき
また、おいという声が聞こえた

自分の中から聞こえるとしか思えない
おいと言ってみる
おい、おい
ハーモニーとは無縁の調子で

おい、おい、おい
次の言葉は聞こえない
自分もまた言葉を思いつかない
おい、おい、おい、おい

おいおい眠りにつくだろう
おいおい夢さえサイレント
おいおい目覚めが来るはずだ
お早うぐらい言えるかな
by nambara14 | 2012-04-24 20:28 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

未来から見る今日

  

     未来から見る今日



三十年後は微妙だが
百年後となれば一網打尽で
枯葉は舞い
朽ちて土に還るだろう

透明な自分がどこかにいて
今ここのテレビから漏れる音や
ダジャレに思わず顔を崩したり
手持無沙汰にこぶしを振り回す

この筋肉と脂肪とで時空に収まり
目をきょろきょろさせ
女に目をそむけられたり
突然腹痛に襲われたりする自分を

なつかしそうに見ている自分の
過去を見る視線はどんどんさかのぼり
もはや自分さえ通り過ぎて
朦朧としたその先の闇を見つめている
by nambara14 | 2012-04-23 19:02 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

カヌー

 

      カヌー


遺族の思いを縫い合わせた亡骸を
そっと一艘のカヌーに乗せて川面に浮かべる

  流れゆく水のままに上下左右に揺れ
  しぶきがかかりあやうく転覆しそうになる

     河畔の鳥たちは鳴きかわし    
     しげみの小動物はうごめく

                           突然の雷雨が襲ってくる
                    閉ざされた視界の中をカヌーは進む
              

    風に乗って運ばれる花の香り
    グライダーがゆっくりと滑空する

       晴れあがった空のもとで川幅は広くなる
       カヌーはほかの舟と出会うこともなく下り続ける

    海、となにげなくイマジンしたとき
    カヌーはまっさかさまに落下する

                深い滝壺から浮かび上がることはなさそうだ
               この巨大な瀑布の最下部に底なしに落ち込み

たったひとつの目さえ見ることがないほど時間がたったころ
すっと白い影が滝壺から姿を現す

      その影はたちまち強い光を放ち始め
      まぶしいかたちとなって空へ飛び立つ

                          ひとりもいなかった滝の前に
                       多くのひとびとの祈る姿が見える
by nambara14 | 2012-04-18 14:46 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

復元

 

     復 元


ゆらゆらとゆれる川面を見ると
体の中の水が揺れる

   たっぷりと水分を補給する朝
   六十兆の細胞が目覚める

      よみがえる記憶が耳元にざわめき
      脆弱な涙腺から塩水があふれ出す

   山頂へつづく道は険しく
   すべったり転んだりしながら登っていく

空が近づくとひとは遠ざかり
高地から海は間近に迫る

   すべては止まれ
   散らばるスティル写真

      拾った化石に閉じ込められた水滴
      人類のクロニクルを飛び越える極氷

   不在に向けて押されるシャッター
   乾ききった精神を引き抜く

洪水が消し去った村落の地誌を
未来の高等生物が復元する
by nambara14 | 2012-04-16 13:50 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

かいりくくう

     かいりくくう


かいかい背中をかいてくれ
かいてき温泉つかったり
かいせん丼をかきこんで
かいぶつ君になりすます

りくの孤島で暮らしたい
りくつなんかは捨て去って
りくちになじんで耕して
りりくする気を失って

くうくう鳴るよ腹の虫
くうぜんぜつごの異変あり
くうかんじかん曲がってる
くうそくぜしきのひとのつね

かいよりはじめてあれやこれ
りくからそらへ そらからうみへ
くうきのように流れゆく
かいりくくうの行方は知れず
by nambara14 | 2012-04-13 15:35 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(2)


詩集「ゴシップ・フェンス」に対する感想について

 拙詩集「ゴシップ・フェンス」に対して多くの方からさまざまな感想をお寄せいただいています。

 それぞれについて、お礼を申し上げたいところですが、とりあえず、この場を借りて感謝申し上げます。

 一冊の詩集あるいは一篇の詩についても、読者によってまったくといっていいほど異なる読み方をされるこ

とは興味深いとともに、感性というものは本当に十人十色だということをあらためて感じました。

 皆様からの貴重な感想を、今後の詩作に生かしていきたいと考えています。

 どうもありがとうございました。

 なお、もし、時期を失したとか、なんとなく感想を述べることにためらいを感じるという方が

 いらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお知らせください。

 皆様の率直な声を聞かせていただくのは、著者にとってなによりの喜びですから。

 以上、よろしくお願いいたします。

                                    南原充士
 
by nambara14 | 2012-04-12 10:05 | 詩集「ゴシップ・フェンス」 | Comments(0)

グラン・ヴァン

   

    グラン・ヴァン


PCを閉じてスマホを置いて
どこへともなく出かける
お前はだれだと問いかける声
しかとして歩き続ける

そうだねえ 学生証は持ってるけど
バイトもしてるし バンドを組んで
ストリートで演奏している
ひそかにボクシングジムに通っている

ひょうひょうとしたふりをしながら
アントレプレナーへの準備を進めている
自分を構成する遺伝子を分析して
人生の計画を練り上げている

採りたてのブドウを砕いて
熟成させる工程も体験した
品種と土壌と気候と設備と技術と
辛抱をブレンドして飲み頃を待つ
by nambara14 | 2012-04-11 11:31 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

言葉が過ぎた日

 

    言葉が過ぎた日 


寡黙なひとだと思っていたが
なにかのはずみに饒舌になる
たとえば昔倒産した会社のこと
独身を通してきた事情のこと

どうせなら景色の中に
まぶしい日差しや花の色を見たいが
明日襲ってくる強い雨風や
地面に落ちる果実や倒れる垣根が見える

飲めないお酒につられて
余計なことを言ってしまったかと
照れくさそうにしながら
ますますコントロールできなくなる

目の錯覚だろうか 芝生に横たわる
つややかな肌が浮かんでくる
一瞬ののち花柄の着物を着た女が
黙って向こうむきに歩き去っていく
by nambara14 | 2012-04-10 18:57 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)

自分の中にいる自分

  

     自分の中にいる自分


桜が七分咲きの道を通ると
小学校の入学式に出会う
子供たちが稚魚のように散らばり
ピアノ伴奏に合わせて校歌を口ぱくする

気ままに歩くことよりも
歌うことはもっと気持ちがいいなあ
校長が短いあいさつをするのが
通り過ぎる耳にも聞こえてくる

あのころの自分はどこに行ったのか
鏡を見なくても 新入生の自分が
今の自分につながっているなんて
信じることはできない

川面を眺めると
波紋がゆらゆらと動いている
満ちたり引いたりする水の上を
小さなゴミが不規則に流れてゆく
by nambara14 | 2012-04-06 13:53 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)