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地学



   地 学


石を抱く 大気
藁を敷く 土
正体不明の 地殻
吼える 火山
落下傘降下する 灰

押し寄せる 津波
不機嫌な 砂
埋もれる 枯れ木
噴出する 真水
眠れる 三葉虫

太陽の 何本もの腕が
地球を もてあそぶ
熱せられた 半球が
どろどろになって 溶け出す

月の 冷たい視線が
半球を いたぶる
熱い 泥流が
ひっついたまま 固まる


by nambara14 | 2010-01-28 11:57 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

スクラッチ



     スクラッチ


紅千鳥 眺める五感 スクラッチ

by nambara14 | 2010-01-28 00:22 | 五七五系短詩 | Comments(0)

産声



    産 声


石は耐え 土はくたびれ 木は迷い
風は泣き 水は落ち込む

鉄は緊張し 銅はリラックス
金はひとと交わらず 
水銀は体操が好き

あられもない大理石
客好きのガラス
無愛想なモリブデン

肺活量の少ない真空
まちがいだらけの墓碑銘

新物質が産声を上げる


by nambara14 | 2010-01-27 18:48 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

人生



    人生


見るものは腐り
触れるものはゆがみ
嗅ぐものは狂い
食うものは毒化し
聴くものは失う

これまでのことは思い出せず
ここがどこかわからないまま
となりのひとの手をつかみ
どこかへ向かって歩きはじめる

どのみち行ける範囲はそこいらまでだ
時間をさかのぼりながら
おのれの座標軸をさがし
相対性の風に吹かれて
人生を極く軽微なものと思いなす

臭い 歪曲  隔離  即死 忘却




by nambara14 | 2010-01-26 22:24 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

やめた やめた



    やめた やめた


雪は 廃物を隠した
眠りは 猜疑心を寝かしつけた
夢は 不発だった

強風が 裸の木を揺らした
目覚めは 憂いをもたらした
起床は 鉛の腰を持ち上げた

だれかが 土地を突き動かした
だれかが 家をこわした
だれかが 火をつけた

空からも 助けは来ない
海からも 救いは来ない
やめた やめた




by nambara14 | 2010-01-25 14:12 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

うるるのうるる



    うるるのうるる


うるるのうりは うるるんるん うるむんむるん
うろおぼえ うつぼをからかう うつけもの
うっかりかまれた 指先は ちぎれて 血が出て
うるるんの ためらいがちな 連帯の 流れは 遠く
霞んでも うるるのうるる 浮き立って
憂きことばかり 見えてきて 
隠れもしよう 逃げだそう
涙の川の 消えうせた あとは砂漠の砂嵐
はりこのトラは 飛び上がる
うるるのうりの気流へと うるるのうるる
うるむんむろん





by nambara14 | 2010-01-24 12:25 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(2)

てんこ盛り



    てんこ盛り


ソーセージ盛り合わせの大皿に
伸ばされるいくつもの手をおしのけて
フォークに突き刺すフランクフルト
さらわれるチョリソー
ひきはがされるサラミ

差し出すより早く
つかみとられ
切り落とされ
生贄に供される
顔のない胴体

どこへともなく
さ迷って行く暗雲
逆さになったテーブル
裏声で歌い出す合唱
弔いのためにやとわれた泣き女たち

シングルマザーの集団神隠し
行方不明の幽霊たち
食材による贖罪儀式
飢餓倶楽部の会合では
喰うわ 喰われるわ のてんこ盛り


by nambara14 | 2010-01-24 02:11 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

忘れ物



      忘れ物


忘れ物 冷たい果実 破裂せり

茫然と ゆがんだ視界 覗き込む

損害を 計算すれば 胸つぶる

諦めて 歩き出す足 どこへ行く

辿り来て 去るまでに見る 地獄谷


by nambara14 | 2010-01-23 19:16 | 五七五系短詩 | Comments(0)

憑依



      憑 依


地平線を駆ける駿馬を見る
砂塵に隠れては現れ かすんでは遠ざかる
見るものは足場を忘れて
視力の限界線上を追いかける

走っているのはだれかの幻覚だろうか
見るものは脳神経の見る夢だろうか
静かなひずめの通奏低音だけが
拍子をつけたギャロップに付き添う

何者かの生まれ変わりとして走り出し
また生まれ変わって空を飛び始めたイヌワシは
ゆっくりと頭上に円を描いている

地底より光速で発射された矢は
いくぶん重力で曲げられた軌道を
新たな憑き物に向かって飛びはじめる


by nambara14 | 2010-01-22 14:13 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

沈黙



        沈 黙


もしなにも 思いつかない 時あれば 鼻歌歌う 習癖がある

あいうえお あえいうえあお 滑舌の 訓練だから 声出してみる

これ以上 黙っていれば 忘れそう 声の出し方 確かめてみる


by nambara14 | 2010-01-21 13:25 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)