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男の仕事



    男の仕事


落魄の葉隠れに亡霊が立つとも
目もくれず髪型と容姿のくずれを気にして
霧氷と呼びかける内在律に耳を傾ける
薄氷を踏んではたたらを踏み
厚顔無恥の器官をひた隠して
いざと言うときには伸縮自在の魔術を披露する
八方に敵の気配あれば抜け行く術法おさおさ怠りなく
嵐の前に支度は済ませて飄々と柳腰の女をからかう
風に乗せて流行歌をくちずさみ辛口の吟醸酒をひっかける
時にあらず時にあらず
ふつふつとこみ上げてくる地獄を押さえつけ
竜巻を予感してひと走りする
疾風の心臓 怒涛の肺腑
血なまぐさい時間の濁流をよけきれず
汚れた顔を覆い傷ついた足腰を引きずる
颯爽と行かねばならぬとつおいつ
ついに果たしえなかった果たし状の叩きつけ
不完全燃焼の燃えカスをそこいらに残して
まだまだと嘯く猿のごとき声高の雄叫び
衰弱する地平のどこからともなく火が燃え広がる
叱咤する抽象の鞭 そそのかす焦燥の熱波
瀟洒な矜持を纏える限りは勇士を気取りながら
うすっぺらな咳払いでなんとか凌ごうとしている


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by nambara14 | 2009-12-29 20:22 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

詩と俳句と短歌


       詩と俳句と短歌


 どうやらわたしの目指しているのは、いわゆる俳句や短歌ではなさそうだと思い始めたので、最近は、自分の書く短詩を俳句あるいは短歌と称するのをやめている。

 五七五系短詩とか五七五七七系短詩とか便宜的に称している。

 詩歌の伝統は尊重するものの、現在の俳句や短歌は、わたしの狙っている「現代性」と相容れないものがあるような気がする。

 俳句や短歌の新生ということがあってもよいと思うが、わたしを理解し賛同する者は見当たらないようなので、とりあえず以上のような仕分けとしておくこととしたい。

 
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by nambara14 | 2009-12-29 12:32 | 五七五系短詩 | Comments(0)

年末年始




       年末年始



押し詰まる 暮れに振り向く 花の精

引き返し 寄せる高波 くぐる暮れ

無言にて 暮れ行く暦 引き剥がす


新しい 空気と思い 深呼吸

新年へ この身ひとつで 乗り移る

この年も 手探りで行く 人の道







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by nambara14 | 2009-12-28 15:44 | 五七五系短詩 | Comments(0)

伸びきったゴムひも



     伸びきったゴムひも


パンツのゴムが伸びてパンツがずりおちるので
パンツを押さえながら対策を考えなければなりません
電車の揺れでパンツがすこしずれるのが気になります
これからプレゼンテーションがあるのですが
なんだか気持ちが集中できません
ある駅で降りてクライアントの事務所まで歩いて行くとき
プレゼンテーションが失敗する予感がして寒気がしました
抜本的な解決策をとらなければならないと思いました
パンツ売り場はどこですか
パンツ売り場はどこですか
朝が早いせいか開いているお店が見当たりません
冷や汗が背中や腋のしたにあふれました
もう時間がありません
やむをえずそのまま事務所へ行きました
会議室には十人ものクライアントの社員がそろっていました
プレゼンテーションにはなれていたので
落ち着いて筋書きどおりに話を進め
映像や音声も効果を上げたことが
クライアントのひとびとの表情を見ればわかりました
完璧なできばえだと自画自賛しながら
同僚と事務所をあとにしました
会社に戻って次の仕事の準備を開始しました
遅くまで残業したあと
パンツを買うことも忘れて家に帰りました
家でパンツをはきかえるとほっとしました
しゃきっとしてワインを飲みたくなりました
生ハムとチーズをつまみに
赤ワインをグラスに注ぐとパンツのことを忘れました
ほどなくプレゼンテーションの結果がでることになっていますが
もし駄目だったとしてもパンツのせいにはしないようにしよう
入浴中にはなにひとつ考えずに身体を洗い湯船につかります
自分の身体がお湯の中でふやけていくのを感じます
腰の辺りの圧力がなくなり
伸びきった肌がぷるぷるするのを感じます
中性浮力で浮世をわたることができるような気がしてきます


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by nambara14 | 2009-12-26 22:52 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

空気がうすい




    空気がうすい


高いところに行ったら空気がうすい
ちょっと歩くだけで息苦しくなる
深呼吸をして足りない空気を補給する

力んじゃいけない ふわりと立つ感じで
そっと話しかける息遣いで
ちいさな振動に気持ちを託すつもりで

足音も立てずに 氷の上を歩く足つきで
身構えず 狙わず 気負わず
おどおどした物腰で高原を行けるだけ行く

くたびれやすく 呼吸が速くなり 休みがちになる
なぜか走るひととすれ違うが 影に交わる影みたいだ
どこにもしゃきっとしたところは見当たらない

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by nambara14 | 2009-12-25 19:59 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

とどめ




    とどめ


ナイフの先で突く
痛みになるまえに切る

包丁でさばく
叫ぶ余地もなくはがしとる

なたで叩く
見る前にどっと振り下ろす

ライフルで撃つ
急所をはずさない精度で

ミサイルを発射する
無差別に殺戮する

狙いをつける核兵器に
狙いをつける核兵器

相撃ちの前に
とどめをさせるか



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by nambara14 | 2009-12-25 10:46 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

手品



   
     手品
 


丸々と太った白い鳩が何羽も胸元から出てくる
赤い布が何枚もつながって手のひらから出てくる
マッチの火で焼いた新聞紙の中から何枚もの紙幣が出てくる
ハットからワインが溢れ出てきていくつものグラスに注ぎきれない
細かく千切り破り空中に放り投げた紙幣が元通りにつながる
はだかの女が閉じ込められた箱の中に剣を刺し貫いても一滴の血も流れない
大男の体が宙に浮く
焼きたての七面鳥がかぶせたボールの中で消える
勢いよく吠えていた犬が袋の中で消える
札束は風呂敷の下で消え
グラス一杯の水もテーブルクロスの陰に消える
女も男も消えうせ
手品師も姿を消す
観客も消える
手品は終わったのか


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by nambara14 | 2009-12-24 20:10 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

 
 

   愛


まるいかたち
女性のからだ
ほほ 胸 おしり

しかくいかたち
男のからだ
肩 背中 腰

さんかくのかたち
ちからがぶつかる
思いがずれる

無形のかたち
無数のこころ
割れて開くか



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by nambara14 | 2009-12-24 11:04 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

その陰に




   その陰に


その大きな樹の陰に
隠れているひとの影

そのひとの影はうすく
なにも隠すことはできない

その半透明の皮膚から
滴り落ちる血

拭いても拭いても
滲み出す血をぬぐいきれない

だれにも見られずに
泣いていたいのに

なにかがひとの背中を押すのだ
ひとだったものあるいはひとではなかったものが

あらわになるひとの裸身
張りを失って危うくさえない

笑われるだけの輪郭は保てず
流れ出たひとの内容物

うすい血痕か涙の雫か
肉眼ではもう何も見えない



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by nambara14 | 2009-12-23 22:58 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

気をそらすための運動



    気をそらすための体操

体をそらす。空が見える。首を回す。空が回る。体を倒す。地球が近づく。体を起こす。地平線が見える。垂直に切る鉄塔。気をそらす。宇宙船が飛んでいく。開けていくほうへ。明るいほうへ。歌声が聞えるほうへ。気持ちも飛ばす。一筋の白い雲。


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by nambara14 | 2009-12-22 13:32 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)