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シルエット=短歌



           シルエット



   花の枝 風に運ばる 鳥の声 月も朧に ひとの影差す

   夕べへと 祈り続ける ひとありて 匂いほのかに 立ち上る窓

   冷え冷えと  静まり返った 街暗く 顔のないまま 行き過ぎしひと



by nambara14 | 2009-03-31 19:13 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

ジグザグ=短歌



         ジグザグ


  散る散るの 見ちるの林 よれよれと 夢見つうつつ つまずきて打つ

  花はまだ 開かぬ先に 酒盛りの 筵を敷いて 満開の夢

  黒々と 重なる影の その陰に 匂い寄せ来る ジグザグの風



by nambara14 | 2009-03-31 13:21 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

風来坊=俳句



      風来坊


ふふふんふん ふっと花びら 舞い散らし

ははんはん 半端なおれの 花ぐもり

ほほほのほ ほれたあなたと 花見酒


by nambara14 | 2009-03-31 11:52 | 五七五系短詩 | Comments(0)

一過性=俳句



     一過性


咲く花を 見やるひと去る 午後の影


黒猫の 金目光って 花霞む


花びらは 落ちて流れて 消えてゆく

    

by nambara14 | 2009-03-30 21:38 | 五七五系短詩 | Comments(0)

影武者=詩


  
     影武者


百三十七枚のシートを
なんどもパラパラさせると
無意識に映像が動き出す
はじまりからおわりまで
あるいは任意の部分から任意の部分まで
再生 早送り 巻き戻し 一時停止
自由自在に行えるようだ

はじめはなにもない
やがて一点が膨張して
高温高圧の球になりすべては溶け合っている
冷めると散り散りになった塵が結びついて
暗く晴れあがった空に無数の星が生まれる
膨張を続けて今は大きささえ想像できないぐらいだが
最近になって誕生した小さな星の上で
極々最近になって生まれたいのちの活動は目をみはるものがある
パラパラもそのへんで停止したくなる
たった一枚のシートに膨大な生物と無生物のすべてが記され
読み終わる間もなくパラパラはめくられる

ふいに地平線になにやら黒い影が現われ
パラパラの動きを背景に斜めに横切っていく
ゆったりとした侍のようなシルエット
ぐっと浮かび上がり 殺陣のようなしぐさをしたと思うと
またしずかにフェイドアウェイしていく
このパラパラを記憶したのはわたしだが
わたしがいなくなっても
パラパラは気ままにめくられ続け
百三十八枚目のシートに向かって伸びていく



by nambara14 | 2009-03-29 16:16 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

特異点=詩



      特異点


降りかかる 透明の火の粉 ケミカルの 反応 どこから駆けつけた消防団
ホースの先は見えず 暗い泡だけが 走り――

通報者ではなく 巻き込まれた者 あるいは 放火者として
役割を割り振られた以上  見えない炎に 煽られる表情を作り上げ
煙に巻かれる被害者を巧みに演ずるべきだろう  救出劇 ――

報道陣はあらわれない 辺鄙を飛び越した現場に ヘリコプターのローターの
回転音は聞こえず ジープの幌より飛び出すカメラマンも 監視カメラのような
近所の住民の影もなく――

開けた高原に視界を妨げるものはなく 高い障壁もないのに
百年に一度の災害を 見て 知らせて 記録する者はいないのか
隔てられた住処 隠された落とし穴 収縮し続ける 特異点――



by nambara14 | 2009-03-27 15:33 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

きりきり舞い=詩



     きりきり舞い


きりきり舞い 一過の花弁の遠ざかる 群雲に乗って
《さるもの》が 鳥瞰図を埋めた場所を記した略図 
を ゆがんだアトリウムの天辺から 落とした 
となれば 解析可能な方程式の解 として そうだねえ 見当をつけてだねえ 
現在と過去との交差点を目指して パラシュート部隊の感性を写し取って 
粘着力または吸引力の誤差さえ めくりつくして 
と と と つまずき よろめき ついとつかんだ時間の飴 
ロリポップ ぺろぺろなめながら 
ベビーカーに乗っていた幼児に日差しはきつすぎましたねえ
春の夜の 夢は朧に 寝覚めの床 迷子の
終着点へと 汽笛を鳴らしながら 近づいている 
と すれば 補正せよ 基準点はどこか?
の泣き顔が浮かび 
ああうう あのね 鉄棒でぐるんぐるんって
三半規管が悲鳴をあげてるんだってね? 
とすれば 座標だって見つかんないよなあ 時計は止まってるし・・・


by nambara14 | 2009-03-26 22:57 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)



     春は来ぬ


 カム 噛む 春の嵐 砂の粒

 もう ろう 霞を透かす 真珠光

 かい かっ ゆさぶらん 花曼陀羅


by nambara14 | 2009-03-26 10:39 | 五七五系短詩 | Comments(0)

花冷え=俳句

  

      花冷え


  はじけたね とまったね 開花本能

  花冷えの うつうつうつつ 夢一瞬

  コイン投げ 開花予想す 団子坂


by nambara14 | 2009-03-25 13:01 | 五七五系短詩 | Comments(0)

エアゾール=詩



   エアゾール


エアゾールは 記憶を塗り替える
歴史を書き換える
噴霧する者の意図のままに脚色する

収拾がつかない時には リセットする
記憶を消し去る
なにも無かったことにする 

あるいは でっち上げの出来事を
まことしやかに列挙する
エンターキーを押せば実行

遺伝子に蓄積された過去を
バイオロジカルに変形する
痕跡は残さない

だれかに都合のいい加工
精巧を極めた細工
だれも疑わず憂えず満ち足りて

確率論に飲み込まれる真理
常に作られ続ける事実
進化も退化も差異を失って



by nambara14 | 2009-03-23 22:26 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)