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痛みの果て



ここに痛みがある
この痛みは生きているから
感じるのだろう

あるいは
眠りによって
痛みは忘れられるだろうか
眠れない激痛
うつらうつらの鈍痛
痛痒い疼痛

麻酔の覚め際
傷口は計り知れない痛みを
全身に刻み込む

空白の記憶の彼方から
うずまく星雲のように
あらゆる強さの痛みが訪れる

やがて 核反応が
臨界を超えたかのように
一瞬 世界が消える

もし意識が戻ることがあるなら
やってくるのは
死生を超えた新鮮な痛みだろう


by nambara14 | 2007-03-30 23:09 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)

喜怒哀楽


一枚の仮面 それは喜び
あわいピンクと目鼻のかたちを描く細い線
瞳だけがあやしい光を発して動く
取引の現場で念入りにほどこした化粧のように

一枚の仮面 それは怒り
赤黒い基調とつりあがったまなじり
裂けた口から割れるような声が上がる
約束の資金提供は撤回させてもらうだと!

一枚の仮面 それは哀しみ
長い道のりをともに歩いてきた
平凡なひと同士の永遠の別れ

一枚の仮面 それは楽しみ
隠れろ!
すべての仮面は 引き剥がされた








by nambara14 | 2007-03-19 11:32 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)

蜃気楼


ひとりパソコンに向かって
自分史をつづる
はじめの記憶はなんだったのだろう
大きな顔が視界をふさぐ

幼年期の自分に聞こえていた子守唄
塗り絵が得意なつもりで
枠からはみだしていた大きな武者絵
走るのがおそかったなあ

少年時代はいじめっ子との駆け引き
予期せぬ悪口や小突きまわし
黒板のまえで立たされた

青春時代は自分にあったのだろうか
幾枚もの蜃気楼がゆらめき
無数の涙となって今の自分を濡らす





by nambara14 | 2007-03-11 21:45 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)

捨男


やっほい 三月
二月を捨てろ
おかしな冬はいなくなれ
春らしい季節よ やって来い

がけの上から かわらけ投げた
おどろおどろしたわが身の
面妖な憑き物たちよ
二度と戻ってくるな

捨てようとしても捨てきれないもの
あるいはひと または想い
一度は捨てて拾いなおす財宝

そむけた顔に 離れゆく背中
いくども夢に現れる透明のひとがた
あたらしい緑を満たせ

by nambara14 | 2007-03-01 20:32 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)

時の歩み

暦は地球の運行に根ざしている
太陽や月の動きを映している
毎日すこしづつ変化して
なんどもなんども繰り返される

ときには 花が咲き継ぎ
重なった落ち葉の陰で 虫が鳴き継ぎ
木の上に新しい木が伸びる
鳥や獣の歌が森にこだまする

気が遠くなるような時の歩み
退屈してあくびばっかりしているのに
突然災厄は訪れる

早送りの映像ならぼくの一生は一秒
スローモーションフィルムなら待ちきれない
だが 音もない透明の時計には手がとどかない

by nambara14 | 2007-03-01 10:03 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)