カテゴリ:詩集「散歩道」( 1 )

詩集「散歩道」より


詩集「散歩道」(昭和51年刊)より

30年以上も前に出した詩集です。その中からいくつか抜粋してみました。
 20代のぼくがどんな詩を書いていたかご覧ください。
 最近の詩と違いますか?それとも、あんまり変わっていませんか?

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マッチ箱


さびしさは
だれの部屋にもともるものです
ふきぬける ふたつのからっぽのなかで
身をよせあうマッチ箱のように

そうして
どこの道でもつぶされるものなのです
ふみつける ふたつの空っぽのなかで
胸と背とを打ちつけて

ただ すりよせあう
くらやみ けしてともることのない
しゅるしゅるっと
爪先が 何かをとらえて
ふるえて 何かになろうと

空っぽになるまで
何かになろうと

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ぶらんこ


しゅっと ゆれて
また しゅっと わたし
わたしを見るひとに
わたしの のびやかなからだを
見せてあげよう

ぐぅっと ゆれて わたしは
ゆれるものの上で  首をそらす
ミニスカートから のびるだけ あしを
のばそう
だれのものでもない わたしだけの
からだを 思い切りゆらそう

ゆれもどる時には アヒルのような足つき
それとも
投げだしたかかとで
地面を いじめてやろうかしら

わたし
夕焼けの ぶらんこのりは
砂の涙をながした わたし
いつかもあったわ
ひらひらのスカートの わたしの
少女の胸で
しゅっ しゅっと
夕日を おしあげ
まあるく 地面は ゆれていた

ああ
どこかで わたしを見る人に
わたしは 叫ぼう
しゅっしゅっと ゆれるとき
わたしは 叫ぶ口のかたちをするの

目をつぶって ゆれ方の
放りだされた からだの感じ
ひんやりとした感覚を ゆれ返り
ゆれ返りして わたしの
そりかえった 首すじに・・・
叫びは氷結するかしら

しゅっと ゆれて
また しゅっと
木蔭に わたしをうかがいみる人に
わたしは 捧げる
だれのものでもない わたしの
のびやかな からだすべて を

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マリー


マリーはいつになく軽やかに青ざめる
透きとおるマリー
エレベーターが浮かんでゆく
刷りたての新聞紙に腰かけたお尻が透きとおってゆく
マリーの小さな胸は心配事でいっぱい

マリーよ
往診カバンから長い針の注射器をとりだし
おまえのおなかの
桃色の胎児を眠らしてあげよう




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by nambara14 | 2007-05-29 10:23 | 詩集「散歩道」 | Comments(0)