カテゴリ:翻訳詩(シェークスピア)( 56 )


ソネット 44


W. シェークスピア


もしわたしの体が思考でできていたなら

傷つくような長距離もわたしの旅を妨げることはないだろう

それだったら このはるか離れた場所からあなたのいるところまで

いくら遠くてもわたしは行くことができるだろうし

わたしの足があなたのいるところから最も離れた場所にいたとしても

敏捷な思考はそれが行きたいと思ったところへ

海を跳び越え山を跳び越えてたちまち到着することができるからだ

だが、ああ!わたしは はるか遠くに行ってしまったあなたのもとへ

跳んでいける思考ではないのだと思うと

その思考はわたしを死に至らせる

実際わたしは土と水とでできているので

わたしは時の気まぐれに従って苦しむしかない

そんなに鈍臭い要素からわたしはなにも受け取ることはなく

ただわたしたちふたりの悲しみの印である涙がこぼれるだけだ



Sonnet XLIV


        W. Shakespeare


If the dull substance of my fleshwere thought,

Injurious distance should not stopmy way;

For then despite of space I wouldbe brought,

From limits far remote, wherethou dost stay.

No matter then although my footdid stand

Upon the farthest earth removedfrom thee;

For nimble thought can jump bothsea and land

As soon as think the place wherehe would be.

But ah! thought kills me that Iam not thought,

To leap large lengths of mileswhen thou art gone,

But that, so much of earth andwater wrought,

I must attend time's leisure withmy moan,

Receiving nought by elements so slow

But heavy tears, badges of either's woe.



by nambara14 | 2019-02-18 12:58 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 43


W. シェークスピア


わたしが眠っているときわたしの目は最もよく見える

なぜなら昼間はずっとさほど注目されない物ばかりを見るからだ

だがわたしが眠るとき夢の中でそれらはあなたを見る

そして闇の中で輝き闇を明るく照らす

そしてあなたの影は周りの影たちを明るく照らす

あなたの影は眠れる目の中でかくも明るく輝くが

あなたの実体は 晴れた昼に それにもまして明るいあなたの光によって

どんなにか幸福な様子を示すだろう

深夜にあなたの美しく不完全な影は

深い眠りの中で眠れる目にとどまるが

日の光の中であなたを見ることによって

わたしの目はまあどんなにか祝福されるだろう

わたしがあなたを見るまではあらゆる昼は夜のように見え

そして夢があなたをわたしに示すとき夜は明るい昼のように見える



Sonnet XLIII


      W.Shakespeare


When most I wink,then do mine eyes best see,

For all the daythey view things unrespected;

But when I sleep,in dreams they look on thee,

And darkly bright,are bright in dark directed.

Then thou, whoseshadow shadows doth make bright,

How would thyshadow's form form happy show

To the clear day withthy much clearer light,

When to unseeingeyes thy shade shines so!

How would, I say,mine eyes be blessed made

By looking on theein the living day,

When in dead nightthy fair imperfect shade

Through heavysleep on sightless eyes doth stay!

All days are nights to see till I see thee,

And nights bright days when dreams do showthee me.



by nambara14 | 2019-02-12 20:00 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 42


        W. シェークスピア 


あなたが彼女を手に入れたことはわたしにとって唯一の悲しみとまでは言えないが

それでもわたしが彼女を真剣に愛していたということは言える

彼女があなたを手に入れたことは悲しみの極みであり

愛を失ったことはもっと痛切なことだ、

愛の罪びとたちよ、わたしはこうしてあなたたちを許そう

あなたはわたしが彼女を愛するがゆえに彼女を愛し

そして彼女は わたしのためにあなたを愛し

わたしのためにわたしの友に自らを受け入れさせることで わたしを苛む、

わたしがあなたを失ったとすれば わたしの損失はわたしの恋人の利得となるだろう

わたしが彼女を失うことで わたしの友はその損失を見出した

二人は互いを見出し、わたしは二人とも失う

そして二人はわたしのためにわたしに苦しみを与える、

だがここには喜びもあるのだ、わたしの友とわたしは一体だ

甘い追従!そして彼女はただわたしだけを愛する。


Sonnet XLII


        W. Shakespeare


Thatthou hast her it is not all my grief,

Andyet it may be said I loved her dearly;

Thatshe hath thee is of my wailing chief,

Aloss in love that touches me more nearly.

Lovingoffenders thus I will excuse ye:

Thoudost love her, because thou know'st I love her;

Andfor my sake even so doth she abuse me,

Sufferingmy friend for my sake to approve her.

If Ilose thee, my loss is my love's gain,

Andlosing her, my friend hath found that loss;

Bothfind each other, and I lose both twain,

Andboth for my sake lay on me this cross:

But here's the joy; my friend and I are one;

Sweet flattery! then she loves but me alone.



by nambara14 | 2019-02-04 19:47 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 41


       W. シェークスピア 

  

時折あなたの心にわたしがいないときに

自由がもたらす愛すべき裏切りは

あなたの美しさやあなたの年ごろによく似合う

なぜならあなたのいるところにはいつも誘惑がつき従っているからだ、

あなたはとても優雅だ、それゆえにあなたは口説き落とされるだろう

あなたはとても美しい、それゆえにあなたは猛烈に誘惑されるだろう

そして女が求愛するとき、男は

首尾よく行くまでは不機嫌に女の許を去ったりするだろうか?

ああ!それなのにあなたはわたしの許を訪れることを控えるかもしれないし

二重の誓いを破ることを強いるほどの放埓へと導く

自らの美貌と迷える若さを叱責するかもしれない、

彼女のわたしへの誓いは 彼女をあなたへと誘惑するあなたの美貌によって破られ

あなたのわたしへの誓いは わたしにとって偽りであるあなたの美貌によって破られる。


Sonnet XLI


        W. Shakespeare


Those pretty wrongs that liberty commits,

When I am sometime absent from thy heart,

Thy beauty,and thy years full well befits,

For still temptation follows where thou art.

Gentle thou art, and therefore to be won,

Beauteous thou art, therefore to be assailed;

And when a woman woos, what woman's son

Will sourly leave her till he have prevailed?

Ay me! but yet thou mightst my seat forbear,

And chide thy beauty and thy straying youth,

Who lead thee in their riot even there

Where thou art forced to break a twofold truth:

Hers by thy beauty tempting her to thee,

Thine by thy beauty being false to me.


by nambara14 | 2019-01-29 12:31 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 40


             W. シェークスピア


愛する人よ、あなたはわたしのすべての愛を奪うがいい

そうすればあなたは以前に持っていたものより多くのものを

持つことになるだろうからね?

愛する人よ、あなたが誠の愛と呼ぶものは愛ではない

あなたがこんなに多くのものを所有する以前は

わたしのものはすべてあなたのものだった

もしわたしのあなたへの愛ゆえにあなたがわたしの恋人を受け入れたのだとしたら

あなたがわたしの恋人と懇ろになったとしてもわたしはあなたを責めることはできない

だが、あなたが拒むべきものの快楽によって

自らを欺いたのだったら、あなたが悪い

あなたがわたしのすべての貧困を盗んだとしても

優しい泥棒さん、あなたの盗みを許してあげよう

それでも愛は知っている、敵によって傷つけられることより

愛する人の仕打ちに耐えることのほうがより大きな悲しみであることを

あらゆる悪が善を表すような淫らな優美さよ

悪意によってわたしを殺すがいい

それでもわたしたちは敵同士であってはならない


Sonnet XL


        W. Shakespeare


Take all my loves, my love, yea take them all;

What hast thou then more than thou hadst before?

No love, my love, that thou mayst true love call;

All mine was thine, before thou hadst this more.

Then, if for my love, thou my love receivest,

I cannot blame thee, for my love thou usest;

But yet be blam'd, if thou thy self deceivest

By wilful taste of what thyself refusest.

I do forgive thy robbery, gentle thief,

Although thou steal thee all my poverty:

And yet, love knows it is a greater grief

To bear love's wrong, than hate's known injury.

Lascivious grace, in whom all ill well shows,

Kill me with spites yet we must not be foes.



by nambara14 | 2019-01-22 09:28 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 39


       W. シェークスピア


おお、あなたの気品に満ちた価値をどのように称えるべきだろうか?

あなたがわたしの伴侶であるときに

わたし自身への称賛は何の意味があるだろうか?

あなたへの称賛はわたし自身への称賛以外のものでありうるだろうか?

だからこそわたしたちは離れて暮らそう

わたしたちの大切な愛から一つの愛という名前を取り払おう

離れることでわたしがあなたに与えうる愛

あなたただけが称賛に値するあなたへの称賛

おお、あなたがいないということ!

あなたの辛い時間がやさしい許しを与えないとしたら

時と思いがそんなにもやさしく欺く愛の思いによって

その時間を満たすのはなんという拷問だろうかということを

あなたは示すだろう

そして離れたところにいるひとを称えることで

いかにして一つの愛が二つになるかをあなたは教えるということ。


Sonnet XXXIX


     W. Shakespeare


O!how thy worth with manners may I sing,

Whenthou art all the better part of me?

Whatcan mine own praise to mine own self bring?

Andwhat is't but mine own when I praise thee?

Evenfor this, let us divided live,

Andour dear love lose name of single one,

Thatby this separation I may give

Thatdue to thee which thou deserv'st alone.

Oabsence! what a torment wouldst thou prove,

Wereit not thy sour leisure gave sweet leave,

Toentertain the time with thoughts of love,

Whichtime and thoughts so sweetly doth deceive,

And that thou teachest how to make onetwain,

By praising him here who doth hence remain.



by nambara14 | 2019-01-15 11:26 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 38 


         W. シェークスピア


あなたが生きていて あなたがわたしの詩の中に注がれ

あなた自身のすてきな表現が 粗末な詩文で読み上げるにはふさわしくないほどすぐれているのだから

わたしの詩が書くべきテーマに事欠くことなどありうるだろうか?

おお!もしわたしの書くものに読む価値があり

あなたに読まれるに堪えるものがあるとしたら あなた自身に感謝しなさい

あなたがあなた自身に詩作のインスピレーションを与えるとき

だれがあなたに向けて書くことができない愚か者でありうるだろうか?

あなたは 詩人たちが依拠する古代の九人の詩神よりも十倍もすぐれた

十人目の詩神でありなさい

そしてあなたを頼りにする者がいれば 

永遠に残る詩篇を生み出せるようにしなさい

わたしのささやかな詩がこの好奇心に満ちた時代のひとびとに気に入られるとしたら

苦心するのはわたしでも 称賛されるのはあなただ。


Sonnet XXXVIII


         W. Shakespeare


How can my muse want subject to invent,

While thou dost breathe, that pour'st into my verse

Thine own sweet argument, too excellent

For every vulgar paper to rehearse?

O! give thy self the thanks, if aught in me

Worthy perusal stand against thy sight;

For who's so dumb that cannot write to thee,

When thou thy self dost give invention light?

Be thou the tenth Muse, ten times more in worth

Than those old nine which rhymers invocate;

And he that calls on thee, let him bring forth

Eternal numbers to outlive long date.

If my slight muse do please these curious days,

The pain be mine, but thine shall be the praise.



by nambara14 | 2019-01-05 22:13 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 37


       W.シェークスピア


元気のよい子供が若々しい行動をするのを見て

老いた父が喜ぶように

運命の女神の厳しい仕打ちによって足萎えにされたわたしも

あなたの価値と真実から慰めを得る、

美や富や機知やあるいはそれらのいずれかまたはすべて

あるいはそれ以上のものがあなたには与えられていて

王座に就いているとしても

わたしはわたしの愛をあなたの豊かな資質に付け加える、

わたしがあなたの豊饒な資質で十分満ち足りていられるほどの実質を

この幻影が与えてくれ

あなたの栄光のほんの一部の中にでもわたしがいることができるのであれば

わたしは足萎えでも貧しくも侮られてもいないということだろう、

最良のものがなんであろうとわたしは最良のものをあなたに願う

この願いが満たされるなら わたしはどんなにか幸せなことだろう。


SonnetXXXVII


     W. Shakespeare

         

Asa decrepit father takes delight

Tosee his active child do deeds of youth,

SoI, made lame by Fortune's dearest spite,

Takeall my comfort of thy worth and truth;

Forwhether beauty, birth, or wealth, or wit,

Orany of these all, or all, or more,

Entitledin thy parts, do crowned sit,

Imake my love engrafted to this store:

Sothen I am not lame, poor, nor despised,

Whilstthat this shadow doth such substance give

ThatI in thy abundance am sufficed,

Andby a part of all thy glory live.

Look what is best, that best I wish in thee:

This wish I have; then ten times happy me!



by nambara14 | 2018-12-30 21:22 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 36


W.シェークスピア


わたしたちの愛が一つであっても

わたしたち二人は二つであることを認めよう

だからあなたの助けがなければ

わたしの欠点はわたしひとりで負わなければならない、

たとえわたしたちの人生に別離という悪運があるとしても

わたしたち二人の愛にはただ一つの目的があるだけだ

その悪運は愛の本来の性質を変えることはないにしても

愛の歓びから甘美な時間を奪うことはあるだろう、

わたしの嘆くべき罪があなたを辱めることがなければ

わたしはいつもあなたを認めるというわけにはいかないかもしれない

あなたがその名前によって名誉を得ることがなければ

あなたが人々の好意によってわたしに名誉を与えることもないだろう

だがそんなことはしないでほしい

なぜならあなたはわたしのものであり、あなたの好評もわたしのものなので

わたしはそんなにもあなたを愛しているからだ


Sonnet XXXVI


                   W.Shakespeare


Let me confess that we two must be twain,

Although our undivided loves are one:

So shall those blots that do with me remain,

Without thy help, by me be borne alone.

In our two loves there is but one respect,

Though in our lives a separable spite,

Which though it alter not love's sole effect,

Yet doth it steal sweet hours from love's delight.

I may not evermore acknowledge thee,

Lest my bewailed guilt should do thee shame,

Nor thou with public kindness honour me,

Unless thou take that honour from thy name:

But do not so, I love thee in such sort,

As thou being mine, mine is thy good report.



by nambara14 | 2018-12-24 14:14 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)


ソネット 35


          W.シェークスピア 


あなたがしたことに対してそれ以上嘆き悲しむことはない

バラにはとげがあり 銀の噴水には泥がたまる

雲や満ち欠けは月も太陽も汚す  

そしてもっとも甘いつぼみには忌まわしい虫が巣食う、

すべてのひとびとは誤りを犯す、わたしもまた

あなたの罪科をほかの罪過と比べて正当化し

堕落して、あなたの過ちを糊塗し

あなたの罪を大幅に許してしまうことで、過ちを犯す、

というのは、あなたの官能的な過ちに対してわたしは理性をもたらし

あなたに敵対する者はあなたの擁護者でもあり

わたしに対する訴訟が開始されるからだ

わたしから非情にも奪い取るあのやさしい泥棒に対して

わたしはいつも共犯であることを強いられる

わたしのあなたへの愛と憎しみはそのような内戦状態にあるのだ


Sonnet XXXV


     W. Shakespeare 

       

No more be grieved at that which thou hast done:

Roses have thorns, and silver fountains mud:

Clouds and eclipses stain both moon and sun,

And loathsome canker lives in sweetest bud.

All men make faults, and even I in this,

Authorizing thy trespass with compare,

Myself corrupting, salving thy amiss,

Excusing thy sins more than thy sins are;

For to thy sensual fault I bring in sense,

Thy adverse party is thy advocate,

And 'gainst myself a lawful plea commence:

Such civil war is in my love and hate,

That I an accessary needs must be,

To that sweet thief which sourly robs from me.



by nambara14 | 2018-12-17 18:11 | 翻訳詩(シェークスピア) | Comments(0)