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カテゴリ:新作詩歌(平成27年)( 50 )

不信


膨張し続ける宇宙っていったいなんなんだろう?
この惑星に似た星もほかにあってもおかしくはなさそうだ
姿を現さず呼びかけも説明もしない超越的な存在が
膨大で分類しきれない生物をひとつひとつ作り分けたり
複雑な進化や絶滅や突然変異を起こさせたりするのだろうか?
いつになったら物理の法則を発見するのに汲々としている段階から
創造の仕組みを解明する段階に移れるのだろうか?



by nambara14 | 2015-07-02 15:28 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

時差



川の面は刻々と波形を変え流れを変え水量を変える
時折魚が弾むように水中から跳ねだすのを見かける
見上げれば今にも降りだしそうな空に厚い雲がかかっている
間近でカラスが鳴く声に驚いたがそれでも河畔をたどり続ける



by nambara14 | 2015-07-02 13:30 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

スーハー


梅雨入りとはいえ 青空が広がって そよ風さえ吹いてくる 
川はよく見るとさまざまな方向へ流れていくように見える
だれにも言えずにしまったままのもやもやが漏れ始める
あわてて胸をおさえて小走りに河口まで行って大きく深呼吸をする


by nambara14 | 2015-06-10 13:38 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

方程式


遠くでひとの笑い声がする
空気に乗って伝わる音波

日の出とともに空も地も色を取り戻す
空気があってもなくても伝わる光

雷でテレビの画面が暗くなった
電波がひどく乱されたようだ

あるひとに特別の波を送ったが
届いたのかどうか

まだ解けていない方程式
それともまだ見つかっていない方程式







by nambara14 | 2015-06-04 13:11 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

目に見えないもの


セロファンが手に付いて取ろうとしても離れない
高速で回転する天体から放り出されることはない
物質に関わる法則が発見されるたび
こころは自分のことのように喜ぶ


by nambara14 | 2015-06-03 16:22 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

杜の中へ


緑陰ていうのか 旅館の窓から見えるんだ 高台にあるからねえ
急な坂を登ろうとしたとき 後ろから声をかけてくれたひとが 迎えの車があるよと
呼んでくれたので さっと玄関に着いて 部屋に案内された
杜の都っていうのか 木漏れ日に 木々の葉っぱが透き通ってね 着替えてから
ちょいと近くの庭園てやつを そぞろ歩いてみたんだ
何十年前か 皇族が来られたと記した看板が立っていた
池もまた緑を映して やわらかに揺れていた 
ほんとうにこんな綺麗な空気を吸ったのはひさしぶりだった 
空腹が夕食をいやがうえにもおいしくし 地酒をちょいと口にすれば ほろ酔いびととあいなった
露天風呂でぬるいお湯に浸かっていると 体中の関節がはずれたみたいにほとびにけりな
星が見えないぞってつぶやいたよ ぜいたくは言うなよって だれかに言われたような気がしたよ
頭がからっぽになって 自分がいまどこにいるのかもわからなくなって いつのまにか寝ていたよ
夢を見たらきっとやわらかな緑色に染まっていただろうなあ 熟睡しちゃったけどねえ






by nambara14 | 2015-05-15 14:49 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

暗示


魔術師の手がさっと動くと体は一瞬半透明になり
やがてX線写真のようなモノトーンに変わる
手を翻せば輪切りになった頭部が次々とめくられ
ピンポイントであやしい部位の3D画像が浮かび上がる
繰り返しさまざまな波が送られ返ってくるのを
丹念に記録し処理すれば細部にまで観察眼は届く
さらに手はどのように動くのか?



by nambara14 | 2015-05-12 15:49 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

包丁



菜切り な切りそ な泣きそ

名なし なくてぞ なにせんに

なにも なくとも なつかしく

菜切り 菜の花 なじませて









by nambara14 | 2015-05-06 19:55 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

激突



駅の階段を上ろうとしたとき
下りて来た乗客の眼鏡が
自分の額に激突した
眼鏡はがきっという音がして吹き飛んだ

男は「痛っ」と叫んで眼鏡をさがそうとした
混雑する乗客の足の間に落ちているのを
すばやく見つけてかけてみたが
フレームがかなりゆがんで見にくそうだ
幸いレンズは割れなかったようだが

一瞬立ち止まっていた自分を見た男は
急に体を低くして体当たりをしてきた
無防備な自分は大きくよろめいて
その場に転倒した
ようやく立ち上がったときには
男はすでに電車の中に消えていた

いつも冷静でいようと思っていたのに
思わず「このやろう」とつぶやいた自分がいた
もし今度こんなことが起きたら
どんなふうに対処したらいいか
階段を上りながら考えてみたが
なかなか答は見つからなかった



by nambara14 | 2015-03-06 12:29 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

ストレイ・シープ


     ストレイ・シープ


シープをさがしに
ジープで行った
思わぬジャンプで
湿布を貼った
スープを飲んで
十分眠った
しっぽのかわいい
犬に出会った
山の向こうに
羊を見つけた
飼い主がいて
抵抗をした
争ううちに
相打ちとなり
深手を負って
やむなく退散
チープな企み
打ち砕かれて
緻密な計画
立て直したが
天候悪化
視界不良で
迷子になった

by nambara14 | 2015-01-06 16:24 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)