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カテゴリ:新作詩歌(平成25年)( 53 )

冬至

道産かぼちゃは栗かぼちゃ
小豆と一緒に煮て食べた

湯船に柚を浮かべたよ
沈めて放すと浮き上がる

ゆっくり浸かるぬるめの湯
伸びきる夜をいとおしむ

思えば長いこの一年
あんなことこんなことあったなあ

ふやけた指で潰す柚
意外と肌にしみた汁

気を引き締めて立ち上がる
いよいよ深まる年の瀬へ
by nambara14 | 2013-12-23 16:45 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

師走


文字通り切り傷が重なる師走
次の言葉を飲み込んでバンドエイドを貼り付ける
次の失意をはぐらかして強がりの姿勢で歩き出す
甘い汁をすすって張り詰めた神経を解きほぐす
次の企みに手を染める前に黙想し深呼吸をする
この季節にしては暖かな滑り出し
「無用の用」という心境がゆらめく

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     December

Wound after wound in December
Put Band-Aid on them without words
Start walking with intentional vividness
Diverting disappointment
Set the nerve loose by sipping sweet juice
Before beginning a new attempt
Meditate and take a deep breath
Rather warm as this time of year
The state of mind "Use of no use" sways





by nambara14 | 2013-12-02 19:28 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

本能

ということで
週末だから
体の本能に任せれば
走り出して
宙返りだ
いや正確には
宙ぶらりんだ

頭を下げた拍子に
勢い余って街路樹に
突っ込んだ
妙な具合で
体の上下もわからず
態勢の立て直しようがない

斜めに見える空と
電柱が見える中じっとしていると
ふいに体が軽くなった
だれかの腕が
背中を抱えて
引っ張り出してくれた

礼を言う間もなく
恩人はいなくなった
なんだかばつが悪い気がしたが
得したような気がしないでもない
週末だから
本能に任せるのもいいよね?
by nambara14 | 2013-11-15 10:03 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

五体

錆びた鉄板一枚
歩くとみしみし言う床板
息を吸い込むと鼻炎が手におえなくなる
カビの生えた椅子の背もたれ
無理やり開ける雨戸
まったく効かない暖房器具
人の気配もなく
反省する気力もうせて
無意識のままにうずくまる
うすれていく記憶のまだら模様に
体感も方向感覚も失う
食欲よりも睡眠欲だとうそぶいてみるが
なかなか眠れなくて手当たり次第に食い物をあさる
かぎりなくなまけものに近くなっていくと感じるが
手や足や腹をこすってみれば
人ではないものにはまだまだ距離があるような気がする
あるいは振り向けば猛獣の牙が首筋に迫っているのかもしれない
状況はよくわからないが
凍てつく寒さとひもじさと眠さがまじりあって
いじけた居心地の悪さだけが
節々を痛ませ
五体を繋ぎ止めているのだと感じさせる
by nambara14 | 2013-10-23 14:08 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

晴れても
腰折れ

曇れば
折節

雨降れば
刀折れ

竜巻ならば
つづら折れ

吹雪けば
屏風

折々
折り返し
by nambara14 | 2013-10-11 15:15 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

不沈

浮き沈み
浮き浮き沈み
浮き沈む

きょうまで
いいことなかったな
沈んで沈んで
浮かばない


あしたは
いいことあるだろか
浮くか浮かぬか
わからぬが

沈まず沈まず
沈まない
浮かばなくても
沈まない

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No sinking

Up down
Up up down
Up down

Until today
There has been nothing good
Down down
Not up

Will tomorrow be a good day?
Up or not
No one knows

Not sink ,not sink
Not sink
Though it might not come up
It never sinks
by nambara14 | 2013-10-11 13:08 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

往還

行きます
来ます

生きました
着ました

帰ります
返します

還りました
孵りました

立ちます
跳びます

発ちました
飛びました

あります
ありません

ありました
ありませんでした
by nambara14 | 2013-10-10 11:02 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

もんたの

もんたのらしい
しんたのもしい
あんたのもんか
かんたのろくろ
きんたのてあし
まんたのせなか
わんたのなみだ
はんたのおはか
by nambara14 | 2013-10-08 19:31 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

霧信号

低音の 苛立ちの 割れ釜の
閉じ込める 海沿いの 窓辺より
もやう景色を 透かし来る かすかな光
曲がりくねった道 蛇の這うあと
姿の見えぬ船の 巨大なブリッジで
レーダーを見つめ 双眼鏡をのぞく 
穏やかな昨日の海上の模様がふと脳裏をよぎる
危険物を満載した船であることなど
ほとんど知る者はない
この閉ざされた海域に何事も起きなければいいと
低音の 落ち着いた 奏鳴に励まされて
日差しがようやく赤みを帯び始める 
by nambara14 | 2013-10-04 14:56 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

秋の日


空がどこまでも広がって行って
マニラの裸足の少年の顰を払い
ヒマラヤを超えてヤクのしょぼくれた目を輝かし
シリア難民の岩陰に光を送り
カイロの広場で流された血を乾かし
サファリパークで襲われた飼育員の骨を葬り
軍事基地の銃の乱射現場を確かめ
ファヴェーラ育ちの少女が踊る稽古場の窓辺を照らし
南極の基地で過ごす隊員の顔を日焼けさせ
ぐるっと地球を取り囲んでしまうと
突然空は垂直に遠ざかり始める
やがて空は暗くなり冷たくなり
無数の空の重なり合うグラデーションに溶け込む
膨張し続ける果てに向かって光速で突き進み
無限大の陥穽に囚われてしまったかと思った瞬間
ひと切れの空がちぎれて回れ右をして
猛然と元来たルートを辿り始める
by nambara14 | 2013-09-30 22:46 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)