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カテゴリ:新作詩歌(平成20年発表)( 48 )

(秋の日に)=詩



     秋の日に


宝石がちりばめられた空から
突然降り出したグレーの涙のしずく
不意打ちを食らったひとびとが
雨宿りをするビルの玄関先

用意のいいひとびとは落ち着いて
傘を高く掲げて歩いていく
頭にハンカチをかぶって小走りに 
先を急ぐひとびとも見られる

空模様が読めなかった
うつむいて歩いてばかりいるから
青い空に隠された灰色が見えなかった

コンビニではビニール傘が何本も売れたが
まもなく雨は小降りになった
無数の見えない人影が雨宿り先からはじき出された








by nambara14 | 2008-09-11 15:03 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

(美しい秋)




 
     
美しい秋



太陽が この星の 大地を 海を ひとびとを 照らす
多くの車が 道路やハイウェーの上を 行き来する
車の中から 美しい秋の景色を 眺めることが出来る
その美しさを 自分なりに確かめることができるのが うれしい

都心部の交通渋滞に巻き込まれて すこし戸惑った
だが 車が郊外へと進むと 昨夜のいやな思いも忘れた
緑の葉と きれいな花のついた 多くの木々を見た
青い空と ぽっかり浮かんだ白い雲も 見えた

あちこちに 鳥の歌う声や 川が流れる音を 聞いた
われ知らず 古いラブソングを 素人くさく歌いだしていた
突然 昔の失恋のことを 思い出していた

いま 仕事を変えるべきかどうか 慎重に考えている
自分はひとりぼっちで 明るい未来も見えない
ただ 首都圏にもやっと秋が来たことだけは わかる






by nambara14 | 2008-09-06 21:38 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

八月の終り=詩



    八月の終り

 
 猛暑日や熱帯夜が続いて
 すっかりバテてしまった日々も
 いつのまにかお盆が来て
 立秋などという言葉を目にすると

 焼けるような空気もすこしゆるんで
 わずかなすきまから風が吹き出すようだ
 ことしの夏はとてもつらいことがあった
 みんなで顔を見合わせては泣いた

 月が変わることでなにかが変わるといい
 ちょうど自分が慣れない土地を歩いていたとき
 同じ時間の中でなにかが壊れたのだった

 振り返れば幼い頃近くの川へ遊びに行った
 空はやけに青くて広くて遠かった
 いま なぜか 例年にない豪雨が降りしきる
 


by nambara14 | 2008-08-29 21:17 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

追悼(=Rへ=)=詩

   


     気の薬

 
 きみの目は なにを見たのだろう
 後姿で遠ざかるひとびと
 きみの耳は なにを聞いたのだろう
 静けさの中の騒音 

 きみの手は なにに触れたのだろう
 あるいは なににも触れなかった?
 きみの舌は なにを味わったのだろう
 辛酸か 極上のワインか

 一瞬のシステムの狂いが
 ありえない幻を見させて
 きみに マイナスの勇気を与えた

 人は 人の気の薬
 時は 最高の睡眠薬
 別れは 突然にやってくる

  



by nambara14 | 2008-07-08 13:21 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

解体新書(=詩)




     解体新書/南原充士



その部屋はまるで無重力空間のようだ
カズヤとカオリは隣り合ってパソコン画面を見ている
ふわふわしているのは空間だろうかそれとも気持ちだろうか
多分わたしは今 三千年後を透視しているはずだ
西暦五十一世紀―――
外見上は別に今の世界と際立った違いはないように見える
だがところどころにこうしたふしぎな部屋みたいなものがあって
それはどうやらゲームセンターとでも言うべきものらしいのだ
(カズヤ、きょうの歴史の時間に解体新書のこと習ったよ)
(じゃあ、カオリ、歴史ゲームやろうか)
ふたりはなにやら画面に手を触れなんどかクリックしているようだ
ふたりはそのつど相談しているらしく笑いがこぼれる

設定が終わると画面は飛び
江戸時代の小塚原の刑場が現れる
「スギタどの、これを御覧なされ、ここにある内臓を」
腑分けを行う老人が刑死した死体の腹部を切り裂き
内部を開いて数人の医師たちに指し示す
みななにやら西洋の書物を手にしている
腑分けされた死体の腹部から引き出される大腸や胃や肝臓を
書物にある図と比べてみてあまりにそっくりなのに驚く
「マエノどの いかがでございますかな この血管は」
「いかにもいかにも またこの筋のごときもの はたまた
この管のごときもの そしてこの節のごときもの
こうして臓器を包んでいる膜がございますな」

カズヤはスギタに扮している
カオリはマエノに扮している
その日の腑分けの経験はかれらにショックを与えた
彼らが手にしていた書物はオランダ語で書かれた医学書だった
「ターヘルアナトミア」というのがタイトルだった
それからというもの数名の医師が集まっては和訳作業にとりかかった

どのようにしたのかカズヤがどこかをクリックすると時間は三年飛んだ
スギタがうれしそうに和訳した書物を眺めている
見れば「解体新書」と題されている
ぱらりとめくれば人体の解剖図が数葉収められている
《これは漢方医学から西洋医学への大転換のきっかけとなるだろう》
マエノは仲間の中でオランダ語がいちばんできたので
最大の功労者だったが なぜか訳者として名前を連ねなかった
マエノもまた歴史を切り開いたことに満足していたにちがいない

カオリがカズヤの手をとりながらどこかをクリックしたらしい
すると年老いたスギタが熱心に筆を動かしている姿が見える
いまやスギタは隠居の身で 解体新書のことも遠い夢のような気がする
しかし文机の上に置かれた原稿はうずたかく積もり
どうやら今最後の一枚を書き終えたらしい
スギタは伸びをし 曲がった腰をたたいた
原稿をそろえて見れば表紙には「蘭学事始」と読める

ふたりはこれで大体わかったねというようにうなずきあった
クリックと同時にふたりはもとの部屋に戻ってきた
(カズヤ、おもしろかったね
こんどは平成時代に行ってみようか)
(そうだね、江戸時代はおもしろかったね、カオリ。
明治維新から大正時代、昭和時代、平成時代のころって
この国がいちばん進んだ時代だね また遊びに行こうね)
二人はゲームセンターを出てどこかへ歩いていった
見なれた都会の雑踏の中へとふたりの姿はたちまち見えなくなった

透視にくたびれたわたしも 軽く目をつぶり一息深呼吸をする
《そして おそらく わたしは一瞬にして 今に戻ってしまっている(はずだ)》



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  上の作品は、「SPACE79」に発表したもの。
  
  杉田玄白、前野良沢などが苦労して翻訳したのが「解体新書」。
  医学の発達には、社会意識の変革がきわめて重要だったことがわかる。
 
  人間社会は、タブーだらけだ。あとから考えればあたりまえのことでも、その時々に
 血みどろの努力や犠牲によって社会変革は達成されてきたのだという冷厳な歴史の事実がある。

  「蘭学事始」は、杉田玄白が、晩年、あらわした回想録だが、「解体新書」翻訳の苦労話や裏話がわかっておもしろい。

  新しいことに挑戦することはたいへんだが、やはり、かっいいね!

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by nambara14 | 2008-06-15 22:19 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

言葉のエロス=10



   言葉のエロス=10



不安       5
非常       5
否定       3
無益       3
未必       3
両立       2
予測       2
反対       3
新生       5

懐疑的      3
世界観      1
無頼派      3
活性化      1
恍惚感      7
自然体      1
ロマン主義    2
衰退期      2

円周率      1
宇宙塵      2
繁殖      10
絶滅      10
喜怒哀楽    10
生老病死    10 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   日本語の品詞ごとのエロス(ポエジーの程度)の分析評価は、
 以上でとりあえず完結としたい。

     *
by nambara14 | 2008-05-23 13:46 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

言葉のエロス=9




   言葉のエロス=9


わたし      10
あなた       7
ぼく       10
きみ        7
彼         5
彼女        5

これ        1
それ        1
あれ        1
どれ        3

こんな       2
そんな       2
あんな       2
どんな       3

大きな       2
小さな       2
たいした      2
いわゆる      1
あの        1



by nambara14 | 2008-05-23 11:09 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

言葉のエロス=8



  
言葉のエロス=8


だろう     3
ようだ     3
みたいだ    3
だ       1
です      2
られる     3
ない      4
させる     3

て       1
に       1
を       1
は       1

が       1
 
へ       1
と       1
も       1

や       1
から      1

かしら     2
か       3

ね       2
さ       2
よ       2

だけ      3
ほど      2
など      2

でも      3
しか      3
さえ      3

のに      3


by nambara14 | 2008-05-22 10:43 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

言葉のエロス=7



言葉のエロス=7


ああ     7
いい     7
うう      5
ええ     7
おお     7

あれれ    7
いひひ    5
うひょっ    5
えへへ    7
おやっ    7

あちっ     5
いてっ     5
うわっ     6
えいっ     5
おっす     5

おはよう    7
こんにちは  7
さよなら    7
ありがとう   7

きゃはっ    5
たはっ     5
よいしょ    5

ぎゃっ     5
えいっ     5

ははは    5
わはは    5

むはは    5
むふふ    7




by nambara14 | 2008-05-21 14:23 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)

言葉のエロス=6



言葉のエロス=6


そして      2
それから     3
だから      2
むしろ      3
つまり      2
かえって     3
はたして     5
または      2
しかし       3
結局        2

きちんと     3
あっさりと    3
まったりと    3
しっくり      3
がっくり      3
さっそうと     3
きっぱりと    3
やっぱり     3
すんなり     3
ぐずぐず     3
しんなり      3
かくしゃく     3
まるで       3
とても       5
もっと      5
けっして     5
なぜ        5



by nambara14 | 2008-05-21 14:20 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)