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2018年 12月 27日 ( 2 )


南原充士 2018(平成30)年 57577系短詩


   (平成最後の)


ともすれば 悲しい色に 染める筆 ピンクの薔薇は ピンクに染めよ

だれもみな 時空の虜囚 流されて 浮かぶ間もなく 滝壷に消ゆ

平成の 最後の暮れが 迫る中 新年号を 思いめぐらす

またひとつ 煩い増えて 暮れる年 凌げば娑婆へ 凌がずば地獄へ

膨大な 巣窟あれば 薬剤も 仕掛けもついに 駆除に及ばず

雨に負け 風にも負けて 冬来たる 春を祈りて 夏に負けじと

揺れるまま 揺れ動くひと 手放しで スマホ放さず 体当たりする

流れゆく 川面きらめく 墨田川 光の中を カモメ舞い飛ぶ

技巧など ないのがましと うそぶいて 実はとことん 技巧を隠す

こんなもの 食えるかと言う そんなもの 飲めるかと聞く 自他の始まり

伸びをする 朝の高台 空を見て 山海を見て 足元を見る

ともすれば 悲観する癖 放擲し 楽観しても いいのだと思う

岩のごと 凝り固まりて 念仏も 沁みることなき 心の宿痾


  (遠い秋)


悪ぶって よいこいじめた 遠い日は 苦みとともに 瞼に浮かぶ

昼過ぎて 小雨落ち来る デッドエンド 前に突堤 後ろに幻影

哭き暮れて 笑い飛ばして 照れつつも 釣り人はただ 浮沈を見つむ

荒海の ブイに止まりて 鳴く鳥の 憂いは深く 立ち去りがたし

どこまでも 焦がれるものに せかれつつ 人影もない 路傍に迷う

必ずや また会うことを 誓いつつ これが別れと なれば悲しき

言葉なき 語らいあれば 饒舌な しぐさもありて 秋は深まる

遠来の 客ともなれば 饗応の 膳を忘れて 語り続ける

わが夢は 風と共に去りぬ 落魄の 幻影ばかり 彷徨える今Gone with the wind.

夕陽の 落ち行く先に 祠あり 抜け行く影は 闇に消えゆく

ふふふふふ 不安な気持ち 吹っ切れた 篩にかけた 粉末のごと

あるだけの 勇気しぼりて 踏み出せば くじけてもなお 起き上がる意気

ははと言い へへと聞くのも 新生の へのへのもへじ 泣くしかできぬ

ともすれば 憂いに沈む 秋なれど 気ままに浮かぶ 雲でありたし

美しき 立ち姿にて いくたびも カーテンコールに 応えるプリマ

立ち上がり 叩く拍手も 割れるごと この感激を 永遠にと思う

ほかならぬ ライブに宿る 死のごとき 激しき今を ともに生きつつ

ひとりごつ ことばはなくて もうまいの かすみのなかに たちすくみつつ

よしよしと 赤子をあやす 暇もなく 過ぎる日夜に かける言葉は

野放しの 獣のような 激痛は 緩和の気配 いくばくもなし

抽象の 気うつにあらず ぎくぎくと 痛む足先 引きずりて行く

ハロウインと 無縁なままに 郊外の 街を歩けば 秋風騒ぐ

秋空の 罪にはあらず 人はみな 重荷を背負い 罰受く旅人

新しき 光の中に 忍び入る 闇の兆しを 払いのけたし

かなしみに 日差しを当てて ふくらませ 赤い風船 空高く上ぐ

静かなる 父を忍びて ときたまに 母を連れては 秋の野を行く

新しき 命を見れば あらためて 神々しさに 言葉失う

物思う 秋の訪れ 風の音 吹かれるままに 千切れゆく雲

おおよそは あなたを信じ ともにある 騒ぐ秋風 言葉少なに

世の中は 荒れ世あれよの 暴れ馬 しがみつきつつ まっとうに生く


  (盆過ぎて)


完走は 一歩の累積 感想は 最終ページ 読後の余韻

共感は あなたの力 反感は わたしの無力 煩悩の盆

むごすぎる 現実なれど ずっこけも 閑居もあれば 夢想に耽る

蛇行する ジェット気流に のしかかる 高気圧あり いたぶられちゃう

何様と 思いて吐くか 罵詈雑言 弱き者さえ 浮かばれぬ瀬よ

自らを 鏡に映し じっと見る 罪深き者 そこにこそいる

坊主憎けりゃ 袈裟まで憎し わりなくも 憎悪の炎 めらめらと燃ゆ

セッシボン 行水シャボン 浴衣がけ 花火ボンボン 盆ソワジャポン

世の中は 蚊さえ暮らせぬ 熱地獄 むんむむんむと 夜も寝られず
正義など知るや知らずや偽悪的振る舞に終始する煉獄

言葉なくひとを押しのけ行く人の顔見ちゃいけない声聴いちゃいけない

ずれてるを超えておおずれと言わんばかりのウェザーフォーキャスト

炎天に鳴き声詰まり緩慢に枝這う蝉も熱中症か

ちっぽけな 心つぶやく 歌だけど 大空を飛ぶ 翼がほしい


   (自虐的)


膠着を 脱する技を 見いだせず ぎこちないまま ひきつる笑い

なにかしら きっかけ見つけ 抜ける闇 自然のごとく 振る舞ってみる

いつまでも 風雨続かず 自らを 励まして発つ 今朝の日課へ

不器用な 手つき顔つき 体つき 誠実だけで 通らぬ世間

冷酷で 可愛げなくて 非協力 言葉もなくて 開き直れば

頑なで 愛想がなくて ひねくれて 不遜なひとに なるなよ自分


   (五月へ)


五月への 暦をめくり 晴れた空 心を飛ばす ひとひらの雲

にこやかに あいさつをする 初夏の 風さわやかに 隣家へ過ぎる

ほんとうは わかりあえない 人同士 ためらう手と手 そっとつなげる



by nambara14 | 2018-12-27 21:04 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

 

南原充士 2018(平成30)年575系短詩


  (年の暮れ)

偏屈と 嫌われ捨てて 年の暮れ

なにごとも 量子のごとく 過ぎた年

辛すぎる 一年だったと 言いがちの

幸せな 一年だったと 言えるかな?

ありえない ニュースばかりの 年だった

来る年の 仮寓のごとき カレンダー


  (秋深し)

携帯の 電源落ちて 秋暮れる

泣きじゃくる 鬼の子もいる 芒の野

幾重にも 濾しとる敵意 新酒酌む

愛すれば 切なさ募る 秋の暮れ

刈り入れの 後のぼっちの 滑り落つ

俯瞰する 地球は季節 取り交ぜて

雨季乾季 四季の彩る 五大陸

秋の裏 朽ちた表札 掛け替える

秋深し わたしはなにを するひとぞ

なぜかしら 秋に誘われ 徘徊す

銀杏を 踏んでしまった 土踏まず

だれひとり 気づかぬうちに 実は熟し

ひとり行く 笑みを忍ばせ 柿を取る

瞑想と 妄想交互に 芒の原

秋晴れは 語彙の如くに 広がりぬ

憂愁を 振り払っては 葡萄摘む

満月の 光くすしく 魂奪う

倒れても 秋の夕日に 起こされる

うっすらと 菊の香りの 女形

旅行けば 弁当をやる 栗おこわ


(十月へ)

垣根とは 譲れない線 金木犀

苦渋にも 恬然として 柿熟す 

噛みしめる 甘酸っぱさは 青林檎

新米の 見て嗅ぎ含み 粒が立つ

凡月を 道連れにして 一人行く

秋風に 語りかければ 友一人

甘い夢 たわわに実る 葡萄園

変幻を 映す秋空 スクリーン

心象を 投げるAI 疑似の秋

無理解は 孤影の意匠 秋日射す

いまなんじ よふかししちゃった あきもせず

さあねよう くいばかりだけど あきらめて

いっしゅんの あきはまじゅつし ゆめのなか

鴉鳴き 秋の夕暮れ 深まりぬ

憂いあり 月も夜空に 顔隠し

日一日 秋色募る 街を行く

秋雨に 濡れる尻尾を 巻いて去る

夏過ぎて 秋冬過ぎて 春過ぎる

夏過ぎて まだ冬来ない 今は秋

夏が来て 秋来て冬来て 春が来る

風に揺れる 芒の原を 彷徨えり

涼しさも 波状になりて 忍び寄る

気が付けば こんな時間か 秋の夜

賢くも 美しくもあれ 収穫期

秋晴れの 山のこだまに 呼びかける

作柄は できぬ采配 神の技

生まれるは 平成終わる 秋のこと

めめしさを 募らせまいぞ 秋の暮れ

薄着して 歩き出したら 秋の風

ああいいな きみのかおりが かぜにのる

轟轟の 一夜明ければ 光来る

倒れしを 起こして思う 暴風雨

眠りにも 風速60メートル 吹き荒れる

内外の 乱れしさまを 嘆くのみ

片付ける 気になれ自分 十月へ

ついに来た 叩きつける 音激し

警報が 鳴って思わず 立ち上がる

避難指示 発令ありとて うろたえる

日は暮れて 暴風雨には 往生す

悪夢さえ 吉兆に変え 月満ちる

長い夜は 夢のトンネル 抜けきれず

血を揺らし 涙を飛ばす 巨台風

おれ自身 台風風速 100メーター

台風の アプリいくつも ダウンロード

台風の 進路予測を 見続ける 

刻々と 台風情報 更新す

サンマ三尾 のかたわらの 刺身買う

尖り来る 鎖骨を覆う 合い上着

遡る 魚眼に映る 紅葉谷

川面には タッチアンドゴー 赤とんぼ

Tシャツで 乗り込むひとの 腕っぷし

台風の 近づく明日に 行事あり

秋が問う 好きな季節は 何ですか

そうだった 今更に知る 去年の秋

切り替えて 冷房暖房 乱気流

割り切れぬ 秋の愁訴も 匙加減

切り分けた ケーキの中に 栗一個

切れ目ない 季節の中に 立ちつくす

わからない 宇宙のなかに 秋がある

とりあえず 晴れの予報に 変わったね

前線が 押し合う中を 徘徊す

雨降って 晴れて曇って 風が吹く

曇りから 小雨秋雨 濡れ前線

冷涼の 気持ちに着せる 合い上着

なにかしら 夢を見ている 秋の午後

ひかえめの 端っこめくる 秋の風

なにもかも 忘れてしまう 秋の暮れ

いつまでも 続く残暑に 切れ目入れ

桃一切れ 梨二切れと 進みけり

何色に 染まるか秋は 走りゆく

龍神の 踊りのごとき タイフーン

花の季語 疎いまんまで 花を食う

枯れかかる おのれのために サンマ焼く

春の夢 一寸の光陰 秋の声

コスモスの 揺れてカメラを 惑わせる

自らを なんと思うか 月明かり


  (九月へ)

九月だと 思えば九月 虫に聞く

九月では 季節外れか 蝉の声

九月とは 移行の季節 気もそぞろ

八月に 思い出せない 初日の出

二対一 今年も残り 少ないと

九月へと 生き延びていく 一個人

カレンダー めくった 夏は いつ終わる?

八月は 終わった 九月は 秋の始まりか?

台風は 季語を またいで 吹き荒れる?

地球儀を 回す小さき アルタイル

夏の夜の プラネタリウム 流れ星 

宇宙儀と いうもの作る 夏休み

寝室の ルームエアコン 故障中

汗吹いて 首筋冷やす 爬虫類

逃げ行けど 逃げ切れはせぬ 天地人

眠られぬ 夜の氷柱 解かす夢

かなかなも 静まる 声の 終わりかな?


  (GW

きまじめを ぺろりと脱いで 吹き流し

なにかしら 法則性の 衣替え

正常を 異常の初夏に 見透かして

かたくなに 若葉求めて わけいる日

しんしんと 降るものもあり 目に青葉

季語を捨て 無手勝で行く 徘徊子

むんむんの 若葉を避けて 帰る道

花咲けば 散り際に立つ 影法師

変わりゆく 宇宙の一部 クローバー

散策の 次元をまたぐ 夢想癖

煩悩を わしづかみして 種をまく

陋習を 掘り起こしては 植え替える

思えるは そよ風の行く わが故郷

空き家とは なれどもゆかし 遠い空

弔いの 道をたどって 過ぎる時


  (傷)

傷つけて 血潮吹き出す 春一番

傷口に 塩をすり込む 春の海

傷口を 指で広げて 春爛漫

  (はずれ)

はかなさの ずっと続いて れすとれす

はんぶんも ずわい残した れすとらん 

はつはるの ずがいを過ぎる れんとげん


   (降雪予報)

スパコンに 声を与えて 雪が降る

ロボットに AI仕込んで みぞれ降る

当たっても 当たらなくても 予報見る


by nambara14 | 2018-12-27 19:44 | 五七五系短詩 | Comments(0)