2018年 01月 03日 ( 1 )

最近の詩集評(12)

竹内美智代詩集『聲にのせたことばたち』。『詩人の聲』プロジェクトで聲を撃ち込んだ、鹿児島弁による詩篇。方言はふしぎな力を持つ。串木野が身近に感じられる。「人間なんか 沈んじょいほが うかっよ/じゃっどん とっどっ 浮きゃがっとよ/いっど 沈んと 二度目は こわなかっよ」(「筏」)。

小島きみ子詩集『僕らの、「罪と/秘密」の金属でできた本』。膨大な書物から溢れ出してくる詩人や哲学者などの言葉を深い思考により濾過し再構成して作られた詩世界は、知的パノラマとしてだけでなく、草花をこよなく愛し育てる自然愛や人間愛に裏打ちされ、観念と感情の見事な釣り合いを示している。

為平澪詩集『盲目』。手を切り落とすとか彼をズタズタに裂いたとか、衝撃的な場面が詩集全体にあふれているのだが、人が生きているということの悲喜こもごもで切実さに満ちた現実が、パワフルで的確で巧みな言葉によって作り上げられた虚構によって逆光のように浮かび上がり、怖いほどに心を揺さぶる。

細田傳造詩集『アジュモニの家』。戦時から現在までの思い出が小気味よいリズムでユーモラスに語られる。よく読むと人間が生きることの悲喜こもごもや苦みや矛盾が鋭く観察されている。戦争、殺人事件、おわい船、エロス、韓国語等が巧みな話芸によって絶妙なエンターテインメント詩に仕上がっている。

丁海玉編『金時鐘詩選集』。一人の詩人の詩にほれ込んだ詩人がとことん読み込んだ上で厳選した詩選集。韓国語と日本語、韓国と日本、韓国人と日本人。デリケートな関係において感じ経験してきた様々な出来事を直視し強靭な精神から発せられる強靭な言葉が読む者の胸を打つ。選者の稀有な情熱にも脱帽。

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by nambara14 | 2018-01-03 21:36 | 詩集・詩誌評等 | Comments(0)