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2009年 05月 03日 ( 2 )

確信犯=詩

 
 

          確信犯



 目の前にあるいちごの赤はわたしをいたたたまれなくし 紡ぎ出す薄布のゆらめきはオスの記憶を蘇らせる。一口かじってしまえば果実の陥穽を逃れる術は無く甘い芳香のゆるやかに食い込む縄目を跳ね返す弾力は無い。遠すぎてつかめない距離感をかわしてしのび寄る無人偵察機をメス専用のシステムが感知して警告を発する。侵攻するミサイルの形状で欺きおおせた快感の罠を確実に迎撃しうる精密レーダー組み込み発射サイト。収穫期を過ぎた果樹園をひとり鉛の防具にふらつきながらぶらつき 草の陰にいまだ発現していない成長点を見出しうる視力だけはかろうじて維持しながら 年月の経過さえ数えることができなくなった今も トラウマとしか言いようのない再現力で老化の坂道を転びながら わたしは秘密国境警備隊員として任じられた瞬間の直立不動のわたしに目盛りを合わせる。国家の利益は何色か どんな香りか 甘いのか 知る由もなく 女スパイのパルファムに脳の髄まで洗脳されつくしたわたしの無抵抗も なんら反逆罪の罪科を軽くするものではなく 佇立するボーダーフェンスよりも劣るというそしりさえ甘んじて受けつつ この懐かしい中心付近の複雑な色彩と張力と弾力と触感と芳香とよがり声に全身を預けようとするわたしを許してしまいそうになる。

by nambara14 | 2009-05-03 23:12 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)

頑固一徹=短歌



    頑固一徹


最硬の 結晶を割る 超化石 キャベツを剥けば ころんと落ちる

カプセルは 埋葬されて 永遠に 在り処も知れず 開けられもせず

沈黙は 金に変わりて 封印す 雄弁の口 銀蝋の穴



by nambara14 | 2009-05-03 17:39 | 五七五七七系短詩 | Comments(2)