メタモルフォーシス
2008年 10月 19日メタモルフォーシス
まず首を落とし 五体をばらばらにする
次いで皮を剥ぎ 内臓を引き剥がし
血を抜き取り 汚物を始末する
新鮮な肉塊を天井からぶらさげ
脂身をそぎ 肉を骨から削り取る
かたちよい肉切れができあがる
人肉を燃やすなんてもったいない
飢えに苦しむ子孫がどれだけ救われるだろう
髪はよく洗って鬘の材料にし 皮は粗末な入れ物にする
角膜や心臓などの臓器移植によって
光を見 命を永らえる者もいる
人体の使える部位は無駄なく利用しよう
体のすみずみまで有効活用された人体は
嬉し涙を流すだろう
透明のハート形のシャボン玉が
すっと体を脱け出し 空へと昇っていく
風に乗り はばたき 鳥になって 雲に姿を変える
はるか上空から下界を見渡し
ときには雨となってしめやかに地面をぬらす
かつて愛したひとびとの頭上に静かに下りてくる
by nambara14
| 2008-10-19 23:46
| 新作詩歌(平成20年発表)
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