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(淋しさの手前で)=詩




    淋しさの手前で



秋めいた風が 頬を撫でると
心は しんみりと なにかを思い出す
見上げれば 空は高く 雲が浮かび
夕暮れが 一気に迫ってくる

帰り道の 暗い足元から
静かな虫の音が 聞こえてくる
空には 月が昇り 星と遊んでいる
夏に疲れきった体が 休息を求める

家に帰っても だれも待っていない
暗い部屋に 入り込んでいくとき
だれかが 後ろから付いてくる

部屋には もうひとりのだれかが 先回りしていて
幻をゆらし 空耳を響かせている 
前から後ろから 古ぼけた感情に 追い込まれる


by nambara14 | 2008-09-16 10:52 | 新作詩歌(平成20年発表) | Comments(0)