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秋の悲歌


      秋の悲歌 


少年のころは 紅葉を見ると 心が躍った
拙いながら クレヨンで 微妙な色調を写そうとした
小さな画用紙に 鉛筆で ざっと 下書きをして
ひたすら 紅葉を 樹の幹や枝を その背景を 見つめた

見る前に 心にはあふれてくるものがあった
心はどきどきして むしろ 景色に色彩を与えた
複雑すぎる陰影は クレヨンでは描けなかった
不器用な手が 苛立ちで 画用紙をこすりつけた

いま ぼんやりと紅葉を眺める自分はだれなのだろう?
こんなにさびしそうな秋の暮れ これ以上ない悲しげな風景
嘆きの歌を歌うのに ふさわしい場所に 立っているのに

乾いた風が吹いていき 中古の心がひからびる
原色の にぎやかな パーティーは終わったのか?
冷め切ったスープを一口 飲んだだけなのに・・・

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by nambara14 | 2007-11-20 14:20 | 新作詩歌(平成19年発表) | Comments(0)