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厳冬期(57577系短詩 2019年1月)


   『厳冬期(57577系短詩 20191)』


あれこれと 気が散るタイプ 飽きっぽい 坊主のように 三日で変わる

いまここで なにか言うのは なぜだろう なにも思わず 言葉が出てくる

なにかしら 言いたくなるのは なぜだろう 我知らずして われを操る

生きるとは 新たな挫折 乗り越えて 小さな希望 求める日々か

親愛は 憎悪に勝つか 難解な パズルのような みんなの心

世の中は ジグソーパズル 入り組んだ 神秘の迷路 地図のない旅

複雑な ブラッドライン そのままに 受け入れてみる 友達のように

いくつもの 嵐乗り越え 行く友の 姿を見れば 力湧き来る

一仕事 終えてひとまず 立ち上がり 深呼吸して そのまま帰る

このまんま 雨が降らずに いたならば 思わぬ日照りに おろおろするかも

からからに 乾いた空気 咳払い 耐性菌は 今日も生まれる

そんなにも 悲観しないで どこまでも 透き通る空 見上げてごらん

一生を 捧げる道を 見出して 一心不乱に 生きた先人

一生を 捧げる道を 見出せず ただ漫然と 生きた先人

生きるのに 目的はない 死ぬまでを 辛抱強く 生きる現人

生きるため 働く道を 見出して とにもかくにも 生きる現人

けなすのが 仕事となれば ほめるのは ぎこちなくなる バイアスの常

にぎわいの 秘密はなにか なにかしら ひとの気を引く わざがあるはず

なつかしい メロディー聴けば 思い出の 回路目覚めて 歌い始める

ひとはみな 悲しきしずく ゆらめいて 光輝く 一瞬の夢

あなたとは 意見が違う それだけで 憎みあったり 嫌ったりしない

あなたより 困った人に 譲ってね できる範囲で 恵んでね

延々と 待つ人々よ スマホから テレビに読書 切れてクレーム

すべては幻想にすぎぬという物理学者の脳内を覗き見たら

だれのため 生きているのか 問いかけて こたえるひとを さがす毎日

この場所に 明日はいない 襟立てて 去り行く耳に 鴉しば鳴く

古いねと 罵り合えば おたがいに 傷だらけだよ 新たな痛み

見えている ようで見えない 自分とは 背中に宿る 霊のごときか

I’ll do my best until you say my food is delicious.

腹立ちの 徒手空拳に 自らを もてあます日々 保留となせり

おいしいを 分かつ数だけ 求めれば 味覚の岩を うがつばかりに

ふたしかな 雲かかすみの 道を行く 迷えることも 倒れることも

ある種の コンプロマイズ 軟体の 出たり引っ込んだり ねじれたり

ひかえめに うしろに下がり もの言わず 化石のように かたまっている

ラッシュ時の もみ合う様は このとおり これ以上でも これ以下でもない

なにもない 空の向こうに なにがある 殺戮の嵐 いまだ已まずと

この空に 煙は立たず 爆撃も 有毒ガスも 警報もない

寒いけど 外に出てみて 見上げれば 空の上には なんにもないよ

このところ 散歩してない ここいらへん そのへんあのへん あっちらへん

毛嫌いは 避けよの言葉 本人が 忘れているが 覚えていると

腕組んで ため息をつく 横綱の これが最後の 土俵かと思う

売り切れの パイは瞼に 浮かび来て 生地とフィリング マウスウォータリング

寒いから 出かけはしない あちこちの 街ゆくひとは 仮想現実

ひとはみな 互いに薬 毒消しの ホルモン分泌 恍惚の時

買い替える たびにつまずく 電子機器 そんなもんだよ 人も機械も

人ごみに 角出し合える 日々なれば 河畔に出でて 流水を見る

陶酔と 幻滅の中 彷徨うも 失いはせぬ 薄き覚醒

部屋ごとに カレンダーなど つるさない 時計も置かず 齢も数えず

脱ぎ捨てる ことのできない 身と心 せめて清めて 着替えて遊べ

にこやかに 近づいてきたのは はじめてだ あなたの身辺 なにがあったの

どこまでも 無知の知もなく 蒙昧の 寒気に怖気 正気はいずこ

かげろうの あとを追いつつ 自らも 影となりゆく 彷徨の果て

切迫の 事態はいかに 回避する かろうじて魔訶 不思議に依拠す

禁断の リンゴの蜜を 舐めんとす ヒト科ヒト属 歯形鮮やか

寒いねと ひとりごと言う 冬の朝 雪になるかも しれませんよね

あと五分 ゴールデンファイブと 思いつつ 寝過ごす朝は まいった遅刻だ

あと一枚 着ればぬくもる 寒気とは 思いながらも 今日も忘れた

毛皮なき 貧しき裸身 ふるわせて 消失点の 定まらぬ絵描く

自らの 作りし筋に 乗りそこね スピンアウトす きみの内実

中庸を 行こうと思う 年初め ふらつく足を 蹴りつつ歩む

正体を 暴かれてなお しらを切る たかが厚顔 無知の仕業と

ことしこそ ひとにやさしく ひかえめに えがおたやさず かんしゃにみちて

極まれば 下足つっかけ 逆風に 転びまろびつ 廃園の沼

いまここの 確かな認知 うすらぐも 他人のごとく なれない自分


by nambara14 | 2019-01-31 12:36 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)