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南原充士 2018(平成30)年57577系短詩


南原充士 2018(平成30)年 57577系短詩


   (平成最後の)


ともすれば 悲しい色に 染める筆 ピンクの薔薇は ピンクに染めよ

だれもみな 時空の虜囚 流されて 浮かぶ間もなく 滝壷に消ゆ

平成の 最後の暮れが 迫る中 新年号を 思いめぐらす

またひとつ 煩い増えて 暮れる年 凌げば娑婆へ 凌がずば地獄へ

膨大な 巣窟あれば 薬剤も 仕掛けもついに 駆除に及ばず

雨に負け 風にも負けて 冬来たる 春を祈りて 夏に負けじと

揺れるまま 揺れ動くひと 手放しで スマホ放さず 体当たりする

流れゆく 川面きらめく 墨田川 光の中を カモメ舞い飛ぶ

技巧など ないのがましと うそぶいて 実はとことん 技巧を隠す

こんなもの 食えるかと言う そんなもの 飲めるかと聞く 自他の始まり

伸びをする 朝の高台 空を見て 山海を見て 足元を見る

ともすれば 悲観する癖 放擲し 楽観しても いいのだと思う

岩のごと 凝り固まりて 念仏も 沁みることなき 心の宿痾


  (遠い秋)


悪ぶって よいこいじめた 遠い日は 苦みとともに 瞼に浮かぶ

昼過ぎて 小雨落ち来る デッドエンド 前に突堤 後ろに幻影

哭き暮れて 笑い飛ばして 照れつつも 釣り人はただ 浮沈を見つむ

荒海の ブイに止まりて 鳴く鳥の 憂いは深く 立ち去りがたし

どこまでも 焦がれるものに せかれつつ 人影もない 路傍に迷う

必ずや また会うことを 誓いつつ これが別れと なれば悲しき

言葉なき 語らいあれば 饒舌な しぐさもありて 秋は深まる

遠来の 客ともなれば 饗応の 膳を忘れて 語り続ける

わが夢は 風と共に去りぬ 落魄の 幻影ばかり 彷徨える今Gone with the wind.

夕陽の 落ち行く先に 祠あり 抜け行く影は 闇に消えゆく

ふふふふふ 不安な気持ち 吹っ切れた 篩にかけた 粉末のごと

あるだけの 勇気しぼりて 踏み出せば くじけてもなお 起き上がる意気

ははと言い へへと聞くのも 新生の へのへのもへじ 泣くしかできぬ

ともすれば 憂いに沈む 秋なれど 気ままに浮かぶ 雲でありたし

美しき 立ち姿にて いくたびも カーテンコールに 応えるプリマ

立ち上がり 叩く拍手も 割れるごと この感激を 永遠にと思う

ほかならぬ ライブに宿る 死のごとき 激しき今を ともに生きつつ

ひとりごつ ことばはなくて もうまいの かすみのなかに たちすくみつつ

よしよしと 赤子をあやす 暇もなく 過ぎる日夜に かける言葉は

野放しの 獣のような 激痛は 緩和の気配 いくばくもなし

抽象の 気うつにあらず ぎくぎくと 痛む足先 引きずりて行く

ハロウインと 無縁なままに 郊外の 街を歩けば 秋風騒ぐ

秋空の 罪にはあらず 人はみな 重荷を背負い 罰受く旅人

新しき 光の中に 忍び入る 闇の兆しを 払いのけたし

かなしみに 日差しを当てて ふくらませ 赤い風船 空高く上ぐ

静かなる 父を忍びて ときたまに 母を連れては 秋の野を行く

新しき 命を見れば あらためて 神々しさに 言葉失う

物思う 秋の訪れ 風の音 吹かれるままに 千切れゆく雲

おおよそは あなたを信じ ともにある 騒ぐ秋風 言葉少なに

世の中は 荒れ世あれよの 暴れ馬 しがみつきつつ まっとうに生く


  (盆過ぎて)


完走は 一歩の累積 感想は 最終ページ 読後の余韻

共感は あなたの力 反感は わたしの無力 煩悩の盆

むごすぎる 現実なれど ずっこけも 閑居もあれば 夢想に耽る

蛇行する ジェット気流に のしかかる 高気圧あり いたぶられちゃう

何様と 思いて吐くか 罵詈雑言 弱き者さえ 浮かばれぬ瀬よ

自らを 鏡に映し じっと見る 罪深き者 そこにこそいる

坊主憎けりゃ 袈裟まで憎し わりなくも 憎悪の炎 めらめらと燃ゆ

セッシボン 行水シャボン 浴衣がけ 花火ボンボン 盆ソワジャポン

世の中は 蚊さえ暮らせぬ 熱地獄 むんむむんむと 夜も寝られず
正義など知るや知らずや偽悪的振る舞に終始する煉獄

言葉なくひとを押しのけ行く人の顔見ちゃいけない声聴いちゃいけない

ずれてるを超えておおずれと言わんばかりのウェザーフォーキャスト

炎天に鳴き声詰まり緩慢に枝這う蝉も熱中症か

ちっぽけな 心つぶやく 歌だけど 大空を飛ぶ 翼がほしい


   (自虐的)


膠着を 脱する技を 見いだせず ぎこちないまま ひきつる笑い

なにかしら きっかけ見つけ 抜ける闇 自然のごとく 振る舞ってみる

いつまでも 風雨続かず 自らを 励まして発つ 今朝の日課へ

不器用な 手つき顔つき 体つき 誠実だけで 通らぬ世間

冷酷で 可愛げなくて 非協力 言葉もなくて 開き直れば

頑なで 愛想がなくて ひねくれて 不遜なひとに なるなよ自分


   (五月へ)


五月への 暦をめくり 晴れた空 心を飛ばす ひとひらの雲

にこやかに あいさつをする 初夏の 風さわやかに 隣家へ過ぎる

ほんとうは わかりあえない 人同士 ためらう手と手 そっとつなげる



by nambara14 | 2018-12-27 21:04 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)