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桜並木

ことしは寒暖の差が激しいので
桜はなかなか満開にならない
徐々に咲いて徐々に散るだろう
晴れたり曇ったり雨が降ったり
花見のスケジュールも決めにくい
卒業式や入学式も桜の開花に合わせられない
この桜並木には何十年もの満開の桜の映像が隠れている
そこを通り過ぎていったひとびとの姿もひそんでいる
生まれたばかりの赤ん坊が母の胸で桜の花を見ただろうか
写真をとったら保存し切れないほど大量になった
いつだってぼくたちは過剰な思いを抱えて歩いていくんだ
大切なものもそうでないものもぼろぼろこぼしながら
気が付けば周りにはだれもいなくなっている
わりきれない出来事も時とともにうすれていき
喜びも怒りもとても近いものに見えてくる
季節が過ぎていくときとてつもなく巨大な足跡が残される
いつまでも生きることができそうに思えてくる
だが突風が花びらを吹き散らし
雨が景色を濡らしてしまうのを目の当たりにして
どんなことが起きてもふしぎではないことを再認識する
微細な生体に認められた変異が致命的になるかもしれない
不吉な思いを振り払うように首をふって
せめてつつじの花までは円滑に咲いてほしいと望む
未来がやってくる方向に視線を向けてみたいような気がする
あるいはそれは全方位からやってくるのかもしれないから
ぶらぶらと歩いていくしかないのかもしれない




by nambara14 | 2017-04-06 23:35 | 新作詩歌(平成29年) | Comments(0)