人気ブログランキング |

57577系短詩


      57577系


便り無い ひとらがいれば 気をもんで くたくたにする 手拭きのごとく

新春の 青空仰ぎ 行く我に 鳥の声さえ 聞こえるものを

幼年を 連れて詣でる 若い親 まぶしく照らす なんの光か

見るものも 聞くものもある この世界 舐めて触って 嗅いで戸惑う

おそらくは すべてはすでに 存在し あるいは隠れ 現れる相

想像は 無限の彼方 創造は ごく近辺で 発見される

ご破算で 身辺すべて ちゃらにして 新たな日々を はじめてみたい

身を隠し 逃れ逃れて 行く先に かすかに見える 家々の灯よ

金もなく 力もなくて 老いたれば 幻と見る わが新天地

おびえつつ 生まれ育った この世界 敵か味方か 見極めかねて

だれひとり 信じることも できずして 生き延びていく 風の冷たさ

愛されず 好かれもせずに ひとりずつ たがいの虚を 見つめて生きる

すれ違う 老骨同士 吠えもせず 視線そらして もくもく歩む

降り注ぐ 日差しを受けて 梅匂う 鳥鳴き風は うたた吹き過ぐ  

音もなく 若い女の かたわらを 抜けんとすれば 小犬吠え来る 

痛む腰 さすりて通う 病院の 待合室は 今日も混み合う

気が付けば 父の命日 思い出は 鮮やか過ぎて 悼む間もなし

身を捨てて 浮かぶ瀬もある 世を捨てて 生きる目もある 死に急ぐなかれ 

春めいて 心の春も 訪れる つもりになって 仮面を外す

先刻の 叫びはなにか 唐突に 少し遅れて 泣き声となる

春の雨 濡れて行こうか 背を伸ばし 酸いも甘いも 噛み分けかねて 

靄霞 払うがごとく 風吹けば 晴れたる空に 花影映えむ

りんりんと ベルの鳴るたび 胸騒ぐ 手の届かない 身のうちの鐘

磨滅する 感性ありて どんよりと 曇れる春に 紛れて歩む

逆立つは 毛髪のみか 神経の めぐる細部に アルカリの粒

朝明けを 見つめていれば おのずから 力湧き出で こぶしを握る

昨日の 自分はだれか 一夜明け 鏡を見れば にこやかに笑む

歩み出す 世間は広く 輝いて 一足ごとに 光いや増す


by nambara14 | 2016-03-20 00:01 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)