痕跡


カラスが鳴き
キリンのようにのっぽのおじさんがやってくる
ちゃらちゃらした少女のような金魚が泳ぎ
壊れた目覚ましのようにしゃべり続けるおばさんがいる

カラスが人間を見るとき ちらっと見ながら頭を突っついてやろうと思っているのではないか
おじさんがキリンを見るとき 生まれ変わりかもしれないと思ってまじまじと観察するのではないか
金魚が少女を見れば ものまねばっかりしているって思うんじゃないか
おばさんが目覚まし時計をかけるかどうか たしかめたこともない

はじめに生まれた人間は 群れをなしていたのだろうか
はじめに生まれた魚は 何色をしていたのだろうか
はじめに生まれたゾウリムシは 快感を感じただろうか
はじめに生まれたいのちは 痕跡をのこしただろうか

近所の土を掘り返すと さまざまな生物の化石が見つかることがある
やがて人類が滅びた後には 人骨の化石が残されるだろうか
やがて地球が滅びた後には なにか残るものがあるだろうか
遠い未来のどこかで 考古学者がなにかを見つけるにはちがいない




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by nambara14 | 2016-03-15 11:45 | 新作詩歌(平成28年) | Comments(0)