五体

錆びた鉄板一枚
歩くとみしみし言う床板
息を吸い込むと鼻炎が手におえなくなる
カビの生えた椅子の背もたれ
無理やり開ける雨戸
まったく効かない暖房器具
人の気配もなく
反省する気力もうせて
無意識のままにうずくまる
うすれていく記憶のまだら模様に
体感も方向感覚も失う
食欲よりも睡眠欲だとうそぶいてみるが
なかなか眠れなくて手当たり次第に食い物をあさる
かぎりなくなまけものに近くなっていくと感じるが
手や足や腹をこすってみれば
人ではないものにはまだまだ距離があるような気がする
あるいは振り向けば猛獣の牙が首筋に迫っているのかもしれない
状況はよくわからないが
凍てつく寒さとひもじさと眠さがまじりあって
いじけた居心地の悪さだけが
節々を痛ませ
五体を繋ぎ止めているのだと感じさせる
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by nambara14 | 2013-10-23 14:08 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)