秋の日


空がどこまでも広がって行って
マニラの裸足の少年の顰を払い
ヒマラヤを超えてヤクのしょぼくれた目を輝かし
シリア難民の岩陰に光を送り
カイロの広場で流された血を乾かし
サファリパークで襲われた飼育員の骨を葬り
軍事基地の銃の乱射現場を確かめ
ファヴェーラ育ちの少女が踊る稽古場の窓辺を照らし
南極の基地で過ごす隊員の顔を日焼けさせ
ぐるっと地球を取り囲んでしまうと
突然空は垂直に遠ざかり始める
やがて空は暗くなり冷たくなり
無数の空の重なり合うグラデーションに溶け込む
膨張し続ける果てに向かって光速で突き進み
無限大の陥穽に囚われてしまったかと思った瞬間
ひと切れの空がちぎれて回れ右をして
猛然と元来たルートを辿り始める
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by nambara14 | 2013-09-30 22:46 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)