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境界線



     境界線


泥にまみれて逃げ回った後
藁の寝床で脳がふやけるほど眠った
疲れはとれたが腹が減って動けない

ふらつきながら戸を開けると
畑があってなにやら実っている
気が付けばキュウリとトマトを齧っていた

だれかの声がして食べるのをやめた
野良仕事のなりをした男が銃を向けている
無意識に両手をあげて立ち尽くした

行けと言われれば行くしかない
わずかに満たされた飢えと渇きが
火をつけた空腹が視界をあやうくした

夜になって今度は違う畑へ行った
とうもろこしもすいかもなんでも食い漁った
そのときがさごそする音が聞こえたが

腹が満たされる快感には抵抗するすべがなかった
持ち帰るためにと手当たり次第もぎとっていたとき
近くで威嚇する声が聞こえた

腕に抱えたまま走り出したとき
轟音が響いた どうと倒れた
手には作物がしっかりと握られていた
by nambara14 | 2012-07-17 15:55 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)