泣きながら



     泣きながら


泣きながら走ってくる人の群れ
なぜそんなにも涙を流して走るのか
いつもはおたがいにそれぞれの日々を
そしらぬふりで過ごしてきたのに

痛ましすぎる現場で打ちひしがれて
うずくまるしかないひとびとを尻目に
あたり一面に広がる瓦礫の中を捜索し
むき出しになった機械装置に挑む隊員たち

無数のスクリーンの映像が
無秩序に重なり合い
悲しみも喜びも怒りも失望も区別が付かない

未来から先取りした増幅器によって
嘆き悲しみ笑い嘲る声が列島を覆いつくす
過去からのトンネルをのっぺらぼうが列を成して走ってくる


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by nambara14 | 2011-03-19 22:26 | 新作詩歌(平成23年) | Comments(0)