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抜け行くポエジー



     月夜を抜け行くものの影


 十五夜を行き交う人影は
 雲の流れのままに見え隠れする満月に
 照らされたり暗ずんだりしながら
 見上げれば中秋の名月、なんて心でつぶやく
 保証もなく てんでんばらばらに家路を急ぎ
 飲み路へ向かい 旅路をわずらう
 月は落ちてしまいそうな紙っぺら
 月見団子をほおばれば甘く切ない昔話
 猫を抱き上げて撫でながら独り言をつぶやく
 情感は気まぐれ猫 走り出したら止まらない
 追いかけごっこのさ中に 迷い込んだ草むら
 拾い上げた時代遅れの紙幣の束
 だいじそうに持ち帰る役者じみた手つき
 おっとっと今夜は月が・・・、
 濡らされた頭のてっぺんに手ぬぐいをかぶって
 闇路にまぎれるキリコの痩身
 二次元に閉じ込められた生き埋めのコンテンポラリー
 ぐるぐる回る天体を観測する望遠鏡を一式
 こっそりしつらえた某所の屋上に紛れ込み
 機械仕掛けの調整ネジをそろそろいじりながら
 逃げていく光を追走する
 徹夜明けのまぶたを手で押し上げても
 月は南半球をさすらっている頃だ
 衛星画像を見つめ続ける気象予報士
 明日からはしばらく雨模様
 見納めの月のために盃を飲み干しておいた
 悔いのない週を迎えることが出来たはずだが
 見れば周回遅れのランナーがすまして走っている
 

by nambara14 | 2009-10-04 16:36 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)