秋の忘れ物=詩
2009年 09月 11日秋の忘れ物
三つの用事を書き付けておいたメモ用紙が見当たらない
ひとつだけは思い出せる 来月分の家賃を振り込むのだ
こんな晴れた日には ただ歩いているだけでいいのに
なにかを思い出そうとして 眉間にしわを寄せる
思い出すのはきのうのできごとではなく
五十年もまえの運動会のかけっこのこと
どうしてもびりになりたくなかったのに
いつも最後にゴールインした
小学校から帰る児童がわんわん言いながら
せまい道を横に広がって歩いてくる
ランドセルをしたたか腕にぶつけられたが
あやまりもせずに行ってしまう
ひぐらしがつっかえつっかえ鳴く
ふたつめは切れた電球の替えを買うことだった
いろいろな種類があって戸惑った
三つめが思い出せれば意気揚々と家に帰れる
by nambara14
| 2009-09-11 13:46
| 新作詩歌(平成21年発表)
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