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転調=詩



       転  調


 だれひとり歩いていない深夜の跨線橋
 モノトーンの薄暗い景観をすり抜ける
 夢から覚め覚め覚め覚め覚め覚め覚め
 何度覚めたら現実になると問いかけて
 うっすらとは感じている生身の呼吸音
 こういう構図で描かれた絵を見たとき
 不意に襲ってきためまいのようなもの
 いくどもくりかえされる恐怖感の転調
 鳥肌立った表皮的な薄いかゆみを掻き
 血筋が浮かび上がるまで爪を立て切る
 斜めに走り去った細長いシルエットは
 いまごろフレームの外で瞑想している
 台風注意報が気がかりのまま傘もなく
 いきなり降ってくる豪雨で流出する枠
 無調性の雷鳴が孤独の感性を許さない
 稲光がついに彩色してしまった記憶野
 ぱたりと潰えた風景に閉じ込められた
 真贋不明の眠りへ眠りへ眠りへ眠りへ



by nambara14 | 2009-08-01 18:16 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)