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フュー・モア・マンスス=詩



     " few more months "

   
       = ある高名な物理学者(故人)のブログHN =



 感じる者が息苦しさと胸の痛みを訴え
 伝える者がうめき声と表情と身もだえを書き付ける
 それをブログに書き込むと不特定多数のひとびとに
 閲覧される可能性が生じる

 感じる者は感じた者となり
 伝える者も伝えた者になり
 書き込む者も書き込んだ者になる

 閲覧する者の一部は閲覧した者に
 またその一部は閲覧している者あるいは
 今後閲覧するかもしれない者になる

 このブログの設定者はすでに亡くなったことを
 親族が告知しているそうだが
 閉鎖しない限り当分はアクセスできるだろう

 その設定者はとんでもなくすぐれた物理学者だったらしい
 闘病の記録を事細かに記録しデータを分析しグラフ化し
 主治医をびっくりさせたのだという

 最期の一週間は 感じても書き込む力はなかったらしい
 ただ 妻の育てた庭の幾種類かの花を見て
 力をふりしぼって綿棒にしみこませた水を舐めようとしたという

 あの世のことをつぶさに観察してブログに載せたいのだが、と
 ある仏教学者に語ったと伝えられた者の明るい表情が
 テレビの画面にいつまでも残像を残した



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   故、戸塚洋二氏に捧げる。
   昨夜(H21.7.14)、テレビで特別番組を見て。
http://fewmonths.exblog.jp/

ところで、 few more monthsとは、文法的には変な気がする。

  意図的にこのようなHNにしたのだろうか?つまり、「残りわずかな命」という否定的なニュアンスを表現するために。

  ふつうの表現なら、a few more months(更にあと数ヶ月《生き延びて》)というふうに、a few を使うだろう。

  言うまでもなく、few months は、あまり使われない表現だと思われる。fewというのは、余り無いという意味だから、直訳すれば、「ほとんど残されていない月数」ということになる。

  この奇妙な感覚こそ、おそらく戸塚洋二氏が感じていた感覚そのものだったような気がする。言葉の陰にある意識や思いは必ず言葉ににじみ出るだろうから。

 HNひとつも見逃せないと思う。
   
by nambara14 | 2009-07-15 14:10 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)