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水の約束=詩



     水の約束


 少女はさっと手を一振りすると
 わたしの手のひらに水の雫をこぼした
 これが乾くまで目をつぶっているようにと
 目を開けたら少女はいなくなると

 聞こえるのは風の音
 葉の擦れる音 甲高い鳥の声だけ
 鼻歌を歌いながら蒸発するのを待った
 眠気を催したのは好都合だと思えた

 だが手のひらの水はすこしも乾かない
 いったいどんな液体を注いだのだろうか
 確かめてみたいが 目を開けたら元も子もなくなる
 眠ってもいけないと苛立つ心が育ち始める

 時間を数えはじめてみてはそのたびにわからなくなってしまう
 すこし歩いてみるがなにかにつまずいて転んだ
 必死に目を開けないようにこらえて
 濡れたままの手のひらをもてあまして




by nambara14 | 2009-04-17 22:53 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)