水の約束=詩
2009年 04月 17日水の約束
少女はさっと手を一振りすると
わたしの手のひらに水の雫をこぼした
これが乾くまで目をつぶっているようにと
目を開けたら少女はいなくなると
聞こえるのは風の音
葉の擦れる音 甲高い鳥の声だけ
鼻歌を歌いながら蒸発するのを待った
眠気を催したのは好都合だと思えた
だが手のひらの水はすこしも乾かない
いったいどんな液体を注いだのだろうか
確かめてみたいが 目を開けたら元も子もなくなる
眠ってもいけないと苛立つ心が育ち始める
時間を数えはじめてみてはそのたびにわからなくなってしまう
すこし歩いてみるがなにかにつまずいて転んだ
必死に目を開けないようにこらえて
濡れたままの手のひらをもてあまして
by nambara14
| 2009-04-17 22:53
| 新作詩歌(平成21年発表)
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