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診断書=詩

    

     診断書  


あの突然の痛みは一時の手当てで治ったのではなかったか?
忘れてしまいそうな過去のおぼろげな風景の先の先
今頃その痕跡をほじくりだそうとする拡大鏡が現れてくるとは!
顔の前に突きつけられる画像を見ても手の打ちようは無いのに

蚊が飛ぶぐらいの音にも心臓の動悸は高まり
ぼやけた焦点にも貧しい視界は暗転する
ざわつく体毛は皮膚を不規則に刺激し
異臭が鼻の奥に到達してめまいが止められない

ほとんど注目されたことのない検査項目の異常が
アスタリスクの化け物となって現れる
毒の付いた牙や爪で脳天やのど元を突き刺す

おそらく意地悪なひとたちが書いた診断書にちがいない
春霞の桜の花びらの舞い散る野で寝そべりながら
およそ狼狽などとは無縁の生を送らせてはなるかと


by nambara14 | 2009-04-14 14:32 | 新作詩歌(平成21年発表) | Comments(0)