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 昨日(H27年 8月25日)、毎日新聞夕刊の「詩の遠景近景」で、城戸朱理氏が、拙詩集『思い出せない日の翌日』について触れてくれた。ありがたいことだ。

  (抜粋)

  南原充士『思い出せない日の翌日』は、夢と現実、記憶と現在が侵犯する世界をのぞかせる。
 「近所の子供たちが話している言葉がわからない/(中略)/なにかがおかしいのか聴力とか脳波
 とか体調とか/(中略)/日本語によりそった一日を過ごして帰宅する/公園で遊んでいる子供
 たちの姿はいつも通りだ/家族に今朝の奇妙な経験を告げようとして/自分の言葉が理解でき
 なくなっていることに気が付く」
  平明でありながら、言葉や母語についてラディカルな問いを突きつける。



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by nambara14 | 2015-08-26 12:48 | 詩集「思い出せない日の翌日」 | Comments(0)

575系短詩(H27)




     恩 讐

            ― 五七五系短詩(H27) -


道行けば 春の嵐を 避けきれず

作戦は 練り直しても 花咲かず

離れ来て ひとり思えば 水ぬるむ

見えぬまま 去りゆくひとの 後ろかげ

なんのため すれ違いゆく 花の下

梅雨時の 三叉神経 もてあまし

曇り晴れ 雨のち晴れて 曇り雨

濡れねずみ 洗濯物は 天日干し

クルミ餡 漉し餡粒餡 夢想餡

ふっくらと パン屋の前で 雨宿り

千万の 堪忍袋の 緒が切れた

暑いねと うちわ片手に 氷菓買う

家にいて 麦茶を飲んで 昼寝する

濃い影の 木陰に消えて 蝉の声
 
炎天も 心ひとつで また涼し

枝枝に 蝉鳴く声の 掠れ来て

ごくまれに 漲るものを 感じつつ

子と母を 見比べてまた 見比べて

泣き叫ぶ 殴る蹴る踏む 投げつける

見られてる ブレイクダンス 崩れてる

宴席は すこし法螺吹く 夕涼み

やあやあと 肩を叩いて 暑気払い

大ジョッキ 語らう口を 泡立てて
 
逆光の 顔つきを見て 苦笑い

炎天下 思い出させる 揺れ始め

深読みの 明日がありて 今日過ぎる

断ち切って 捨ててしまって 離れ去る

アルバムを 開いて閉じて 捨て惜しむ

手紙類 焼き捨てる文字 浮かび来る

さくねんも いっさくねんも いきていた

らいねんも さらいねんにも いきてるか

おんしゅうを こえるうたごえ まちにみつ

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 注:以上は、今年これまでに書いたものをまとめたものです。




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by nambara14 | 2015-08-16 10:08 | 五七五系短詩 | Comments(0)

57577(H27)



        命の光   

                         ー 五七五七七系短詩(H27) -


花咲いて 歳歳年年 変わりゆく 樹木の下の 人相似たり

人は人 花には花の 命あり 散るを知るとや 咲き誇る今

悲しみの 色は美し 喜びの 花咲く時を 輝かすとや

吹き抜ける 電磁の嵐 追いかけて テレポーテーション 実験開始

吹き溜まる 見えないとげに 刺されいて 走り出でれば もんどりを打つ

吉凶に 傾く性向 忌みつつも 揺らぐ大地に さまよいてあり

スリーボール ツーストライク 梅雨空の ボールパークに エール木霊す

ツーアウト 満塁九回裏 逆転の エラー暴投 本塁激突

故障者の リスト満杯 肩肘と 膝と足首 満身創痍

生きるも地獄 死ぬも地獄 生死不明の涯にさまよう

へいサマー へい葉鶏頭 燃え立てば かげろうさえも 惑いよろめく

仮住まい 身を整えて 日々暮らす 路地裏に咲く 花に水やる

湖の 霞棚引く 畔へと 歩みて行けば 心騒がし

歩みつつ 振り向く先に 木立見ゆ 風さわさわと なにを揺さぶる

これは恋 あるいは愛と 定めかね 過ぎ行く時を ただ思い見る

だれにとも 定めぬ祈り どこへとも 決めえぬ願い 心中に秘す

時を超え 空を渡って やってくる かすかなゆらぎ かすかなゆらぎ 

闇よりも 深い閨より 生まれ来る 命の光 波打たせつつ

かなしみを よろこびにかえ くるしみを たのしさにする きのうきょうあす

かるからん おもいにもつも あさあけの ひかりさしくる いまここにいて

なみだにも あせにもちにも まけないで えがおみかわす みらいをいのる

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   注:以上は、今年これまでに書いたものをまとめたものです。



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by nambara14 | 2015-08-16 10:04 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

うたごえ


さくねんも いっさくねんも いきていた

らいねんも さらいねんにも いきてるか

おんしゅうを こえるうたごえ まちにみつ



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by nambara14 | 2015-08-15 13:12 | 五七五系短詩 | Comments(0)

かるからん


かなしみを よろこびにかえ くるしみを たのしさにする きのうきょうあす

かるからん おもいにもつも あさあけの ひかりさしくる いまここにいて

なみだにも あせにもちにも まけないで えがおみかわす みらいをいのる


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by nambara14 | 2015-08-15 13:02 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

リスク


エレベーターに乗り合わせた女子中学生のリュックに結びつけられていたマスコットには尖った飾りがついていた
混み合ってきたときその女子中学生のマスコットがこちらの手をかすめその瞬間痛みが走った
なにかを言おうと思ったがなにも言えないままドアが開いて女子中学生は降りていった
冷静に手を見てみるとうっすらと血がにじんでいた
さっきもっとはっきりとクレームをつけておけばよかったのだろうか?
ぼんやり考えているとかかとになにかが当たって痛みが走った
振り向くとキャリーバッグを引いた老人がのろのろと歩いていた
もっとまわりに注意をして歩くようにと言おうとしたが言葉が出なかった
帰る道道『こらっみんなひとに迷惑をかけないように注意しろ』とつぶやきながら歩いていると
正面から中年女性の乗った自転車が猛然と走ってきてあやうく身をかわしたがもんどりうって転んでしまった
腕を擦りむいて腰を打って体をひねって 痛みをこらえてようやく立ち上がった時には
自転車の姿はなかった
『ばかやろう』と小さく叫んでみたがショックの大きさでめまいがしてきた
もうろうとした意識のまま家へと向かったが
無事に家に着けるかどうか不安を拭えなかった
無限に遠い道を歩いているような気がした




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by nambara14 | 2015-08-15 10:53 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

日陰



すこしふらつきながら
日陰伝いに歩いて
ようやく家に着くと
ソファに倒れこむ
自覚はなかったのだが
熱中症だったのかもしれない
思い込んで受け入れるか
疑ってはねつけるか

日向でテニスをするひとびとを
ふと思い出す
炎天下でジョギングをするひとびと
ビーチバレーで砂まみれになるひとびと
健康と不健康の微妙な境界線など
意に介さないということか
鍛錬に耐える体力があるということか

日が落ちて気温が下がり風が吹き始める
セミは鳴き続けているが
鉄人たちもシャワーを浴びて
食卓に集う
ビールを飲みながら遠くに花火を見る
快い眠気が襲えば逆らうことはない

騒がしい街や争いの地域や感染症の流行
扇動や非難や銃声や叫びや嗚咽
これ以上悲惨な事態はありえないと感じながら
黙って自分の時間を過ごす
絶望的でも希望は捨てていない
切羽詰っても冗談は忘れていない
信じられなくても愛することはやめない
それほど立派でなくても卑屈にはならない
日陰を伝いながら
日向のことを静かに思っている






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by nambara14 | 2015-08-14 18:13 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

祈り



だれにとも 定めぬ祈り どこへとも 決めえぬ願い 心中に秘す

時を超え 空を渡って やってくる かすかなゆらぎ かすかなゆらぎ 

闇よりも 深い閨より 生まれ来る 命の光 波打たせつつ






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by nambara14 | 2015-08-13 16:02 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

お盆


やっぱり今年も東京から田舎へ多くのひとびとが帰ったらしい
さるすべりの花が燃え蝉が騒がしく鳴きしきる炎天下
もうろうとする意識を奮い起こしながら歩けるだけ歩く
思い出したくない光景がふと瞼をよぎり気持ちが沈み込む
いつのまにか身近なひとたちがいなくなってしまった
ことし結婚式を挙げたひとや子供が生まれたひとを思えば
全体としては辻褄が合うのだろう
追悼の儀式が連続する季節に
すこしだけ休息をとれる場所を求めて川のほとりの緑地に向かう
墓参りは時期をずらして行くからとだれにともなく言い訳をして
木陰のベンチに腰かけて水量の少ない川の流れを見る
ふと通り過ぎる電車の車両が目に入る
仰向けばぎらぎらした太陽が容赦なく地上を照らしている
持ってきたペットボトルから飲みたいだけお茶を飲む
残虐すぎて正視できない記憶の写真集を閉じて
生きることさえおぼろに感じられるこの日この場所で
ほとんど瞑想する隠者のようにただ居続ける






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by nambara14 | 2015-08-13 10:26 | 新作詩歌(平成27年) | Comments(0)

断捨離



断ち切って 捨ててしまって 離れ去る

アルバムを 開いて閉じて 捨て惜しむ

手紙類 焼き捨てる文字 浮かび来る


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by nambara14 | 2015-08-12 15:37 | 五七五系短詩 | Comments(0)