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秋の日


空がどこまでも広がって行って
マニラの裸足の少年の顰を払い
ヒマラヤを超えてヤクのしょぼくれた目を輝かし
シリア難民の岩陰に光を送り
カイロの広場で流された血を乾かし
サファリパークで襲われた飼育員の骨を葬り
軍事基地の銃の乱射現場を確かめ
ファヴェーラ育ちの少女が踊る稽古場の窓辺を照らし
南極の基地で過ごす隊員の顔を日焼けさせ
ぐるっと地球を取り囲んでしまうと
突然空は垂直に遠ざかり始める
やがて空は暗くなり冷たくなり
無数の空の重なり合うグラデーションに溶け込む
膨張し続ける果てに向かって光速で突き進み
無限大の陥穽に囚われてしまったかと思った瞬間
ひと切れの空がちぎれて回れ右をして
猛然と元来たルートを辿り始める
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by nambara14 | 2013-09-30 22:46 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

消しゴム君

ノートのはしに鉛筆で書いたあなたの似顔絵
似てないってすねたから消しゴムで消してしまった

万年筆で書いたラブレター
修正インクで一か所直して出したら
全部を書き直すのが常識だとしかられた

壁のいたずら書きは誰が書いたのか知らないけど
さっと壁塗りをして消し去った
そこだけ白っぽくなりすぎたと言われて
塗りなおしたらますます目立ってしまった

赤さびの浮き出たぶらんこが子供たちの遊び場にある
ペンキを塗って「ペンキ塗りたて」って張り紙をしたのに
おしりにべったりペンキをつけた子供がいるらしい

海の向こうではなにやら不穏な情勢だとうわさされている
はたしてミサイルだったりしたら
遠隔消しゴム装置を発射して
ねこそぎ消し去ってしまおう

力余って自分の左腕も消してしまった
お絵かきソフトで
修復することにしたいが
へたくそだから
だれかに書いてもらいたいな

だれか絵のうまい人いませんか?

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An eraser

Your portrait that I drew on a corner of a paper
of a notebook
You complained about it that it was not like you
So I erased it

A love letter which I wrote by pen
I whiteouted a part of it
You got angry ,saying that I should have rewritten all of it

A scribble on the wall
Although I didn't know who did it
I gave it a lick of paint
Someone said that the part looked too white
I gave another lick to it ,only making it more prominent

A red rusty swing in the playground
I painted it and put a paper beside it
Saying that it was wet
But some children may have sat on it

There is a rumor that the situation is voratile in the oversea areas
If missiles are prepared to launch
We will destroy all of them
Using the remote erasing system

I deleted my left arm by mistake
I want to recover it using drawing kit
But I am not good at drawing
So I want someone who is good at it

Is there anyone who is good at drawing around here?
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by nambara14 | 2013-09-24 16:14 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

はにかみ

きょうは晴れた
あしたは曇るらしい
明後日は雨らしい
明々後日は台風が来て
明々々後日は台風が去って
明々々々後日は快晴になるという

秋は虫の音
夏の蝉の声を引き継いだ
冬は厳しい寒さが襲うそうだ
春は、まだ遠い

振り返れば
青い空に白い雲が浮かんでいる
思い出せば
どしゃ降りの雨の中を
前のめりに歩く人影が見える

そのうち 台風が過ぎたころ
あのひとを誘って
高台にあるレストランに行ってみよう
はるか遠くに大きな船が見えるだろう
その向こうに
七色の旗がひるがえっているだろう
そのずっと向こうには
はにかむ子供の顔が見えるようだと
囁いてみよう
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by nambara14 | 2013-09-17 15:39 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

台風

叩かれて 揺られて濡れて 身を潜め

行き行きて はだける胸に 騒ぐ風

痕跡を 辿る道行 泥の川
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by nambara14 | 2013-09-16 11:38 | 五七五系短詩 | Comments(0)

意識

宇宙が生まれてからの来歴を解き明かすなんて
だれが想像しただろうか?

感覚のない無機的な変容なら
観察する目には追い切れないだろう

ナレーターのいないドキュメンタリーフィルム
暗黒の中にかすかに聞き取れる歌声

いま精密に計算された機械の撃ち出す弾丸は
人間の意図を引き受けて正確な弾道をたどり始める

どのように欲求は生まれてきたのだろう?
変異が積み重なって一体どこへ向かのだろう?

目の前にある肉片を見つめながらむしゃぶりつきたいが
もうとっくに訳が分からなくなっている

自分が生まれてからの来し方さえおぼろげになってきて
途方に暮れていると言い放ちたい気分なのに

とんでもない原初の瞬間の相転移などというものが
茶の間のテレビ番組で詳しく解説されている

混沌の泥遊びに興じているつもりの子供の目の前に
3D画像がくっきりと二重らせん構造などを浮かび上がらせる

デリート デリート デリート 怖気づいて何度もリモコンのボタンを押すが
こんなときに限ってちっとも言うこと聞かない

できることは目をつぶって泣きじゃくることだけだと
うすうす分かっているが

それをやっちゃおしまいだとなんとなく感じているから
苦笑いでごまかし続ける 

いつまでできるかはわからないから
秩序も無秩序も同じだよねえと言いながら日が暮れる
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by nambara14 | 2013-09-11 14:47 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

Candid

Imagine the tiniest particle
How does it look?

Imagine the largest space
How does it look?

Everything is correlated
Everything appears and disappears

Now I am alive
Then I am dead

What makes it possible
That everything is coexisting?

Or how is the relationship between
Continuity and discontinuity?
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by nambara14 | 2013-09-10 15:04 | 新作詩歌(平成25年) | Comments(0)

不幸中の幸い

炎天も 凌ごうとする 姿勢あり

つまずいて かすり傷なら よかったね

愚痴ばかり こぼし合っては 長寿園 
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by nambara14 | 2013-09-10 09:33 | 五七五系短詩 | Comments(0)

復活

切っ先の鋭く尖るメスらしきまばゆいままに見つめ続ける

身代わりの無ければ自ら引き受ける闇の底より光射し来る

このたびも骰子を振りては惑いつつ導きの手にすがりて歩む
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by nambara14 | 2013-09-07 18:28 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)