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洪水



      洪水


小雨から 本降りになり 降りやまず

豪雨から 洪水になり 流れやまず

奔流に 濁流を呑み 決壊す


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by nambara14 | 2010-09-30 19:02 | 五七五系短詩 | Comments(0)

茅の原



      茅の原


雨降れば 濡れ風吹けば 裂かれ晴れ

れば捨てて たら思い切る 茅の原

起きて泣く 寝て泣く伏せて 果てし泣く


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by nambara14 | 2010-09-28 19:49 | 五七五系短詩 | Comments(0)

馥郁



      馥 郁


色のない 風に嗅ぎ取る 秋かすか

みずからの 臭いを消して 紛れ去る

輝ける 香りを浴びて 若やげる


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by nambara14 | 2010-09-25 12:11 | 五七五系短詩 | Comments(0)

冷涼


      冷 涼


夏の辞書 しまいし後の 風涼し

秋の文字 こころに書いて 夏去りぬ

りんご剥き 梨かじり栗 ゆでて食う


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by nambara14 | 2010-09-24 10:54 | 五七五系短詩 | Comments(0)

秋の気配



    秋の気配


十五夜の言葉に夏をすこし忘れて
月の出る時刻には家に帰って
小芋という和菓子を薄茶とともに
味わいながら季節の移ろいを眺めてみよう

よきひとがやや遠慮がちな居住まいで
影のように慕い続けてきたものは
数百年前から受け継がれてきた
わびさびの感覚のように見えても

内にはどれだけの炎を燃やしているのか
とうに思い至らない穏やかな日々を過ごし
上辺の泣き笑いの表情やしぐさだけで

それ以上聞くこともねだることもしないで
月影が明るくふたりの顔を照らし出すとき
戸惑う気持ちを募らせるのは秋の気配



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by nambara14 | 2010-09-22 14:09 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

文字



      文 字


筆先に 秋日の差して 光る文字

ふるえてる 心臓からの 力文字

キーボード 手指を離れ 化ける文字


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by nambara14 | 2010-09-21 14:32 | 五七五系短詩 | Comments(0)

受容



      受 容 


すこし開く 扉の重み 開ききる

すこし見せる 汚れた首を 見られても

すこし歌う 調子はずれで 気持ちよく 
   

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by nambara14 | 2010-09-20 12:58 | 五七五系短詩 | Comments(0)

疑義



      疑 義


やわらいだ 日差しの中で 走り出す 子供ばかりを 追いゆく視線

聞いたような 口を聞くなと うそぶいて どこへともなく 踏み出す一歩

眼に見えぬ 細菌ひそむ おにぎりを ぱくつく昼を ややおおに過ぐ


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by nambara14 | 2010-09-18 14:34 | 五七五七七系短詩 | Comments(0)

陽の当たる坂道



     陽の当たる坂道


この細い道を通らないと行けないところへ
ざわめく内面を隠しながら歩いていく
いつもここだけはカンカン照り
色の落ちたオシロイバナ
紋黄蝶がとまっているキクイモモドキ
過去へと咲き続けるコスモス
逃げ場のないこの坂道を
懸命に自転車を漕いでいく中学生
たちまちのうちにだれの姿も消えうせる
ややこしい検査を受けるために
絶食をして歩いていくせいか
日差しがとりわけきつく感じられる
検査着に着替えてあの境界線を
歩いてから何年もたった
分かれ道は細く長く暗かったが
この坂道だけは陽が射していた
思い出の中でも
紋黄蝶は飛び続け
花の色や形も変化し続ける
目鼻立ちのはっきりしない顔と
すれちがうときも
秋晴れと見まごうほどに
ぼんのくぼを照らす陽の当たる坂道



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by nambara14 | 2010-09-17 20:16 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)

とりかえ可能



       とりかえ可能


いつも通る道でひとつの空き地に気づいた
ここにはなにがあったのだろう
店か事務所か家か 記憶は定かではない
歩きながら何度も通ったはずの場所を
思い出そうとしてみる

電車の座席に座っている乗客
目の前にいる七人の顔を見る
だれひとり見覚えはないが
覚える前にみな降車駅で降りていく
入れ替わって座る乗客は追いきれない
外の風景を見るか 眠るか 本を広げるか

自分の姿が窓に映る
隣の若者のヘッドホンからは音が漏れる
隣の女性のハンドバッグの角が膝に当たる
信号の故障で電車は遅れる
お詫びのアナウンスが流れる

急ぎ足のひとびととすれ違いながら
またまた考えごとしてしまう
ときどき肩がぶつかりそうになってあわてる
ケイタイで話しながら元気よく追い越していくひと
大きな体をゆすりながら歩く外国人のカップル

街路樹からは雀の鳴き声が聞こえる
これから会う予定のひとの名前が思い出せない
こんなに高いビルがたくさん立っている中を
番地を間違えずに目的地にたどり着けるか
パズルのように駒を動かしているうちに
隙間というものが頭を離れなくなった


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by nambara14 | 2010-09-16 11:21 | 新作詩歌(平成22年発表) | Comments(0)