575系短詩(平成29年1月~7月)


575系短詩(H2917月)

南原充士



桜舞う ベンチはだれを 思い出す

汚れ拭き すわっていいと だれに言う

だれのため 光と影が 生まれしか

桜散る 雨足長し 底深し

やややんや 悠揚として よか男

肉魚 野菜味噌汁 夕御飯

雨風の 揺さぶる花の 路地を行く

瞳孔の 開いたままに さまよえる

涙など 見せるものかと 走り出す

鼻水の とまらぬと言う 花冷えて

ただ聞いて うなずくだけで 去りにけり

ここにしか いられぬならば 安らげよ

坂上まで 雪に埋もれて 開講日

海光の きらめく刺繍 見える部屋

どこまでも 邂逅あれば 歩みゆく

凍り付く われは半裸の 原始人

All over frozen,
I am a semi-naked
Primitive man.

解凍機 くぐれどなおも 氷点下

Going through
A defrosting machine,
It is still frozen.

安らかな 眠りに就けよ 氷河人

Good night,
Get a sound sleep,
Glacier man!


メビウスを 水族館の 順路とし

悠々と ガラスを抜ける 鱶の鰭

人魚にも 泳がせてやれ 螺旋漕

散る花の はらはらとして 悲しまず

咲き継いで 散ってみせれば 腑に落ちて

端境期 ただ待つのみの 花盛り
   
微細から 巨大に至る 真ん中へん

虚構だと 気づいていても 静心

年ばかり 気になる老いの 四捨五入 

気の抜けた ビールあおれば 足萎える 

よろめいて つまずいておれ 脛痛い

てやんでえ 口も回らぬ 空元気


暑すぎず 寒すぎずして つつじ咲く

この道を 歩いていれば 初夏になる

かこつこと ばかりだったな 目に青葉

生きてれば よくもわるくも 変化する

生きている 一寸先は 闇だけど

生きるとは 新たな時に 出会うこと

ハ長調 今朝の窓辺に 光射す

ニ短調 今宵酔いどれ 裏通り

弾き手無し 調律済みの 古ピアノ


龍神と 雷神のいる 天気予報
Both the Dragon God and the Thunderstorm God
Appear in the weather forecast.

小説と 詩を商える 仮想店
This is a virtual bookstore
Which sells poem books and novels.

押し売りの 度胸もなくて 夕涼み
I can't be a peddler,
Just cool off in the evening.

綿飴と ラムネの前で 立ち止まる
I stop
In front of cotton candy
And soda pop.

孫を抱く じーじじーじと アブラアセ
I hold my grandson in my arms, who calls me,"Jiji, jiji."
I sweat a lot remembering large brown cicadas.

自暴自棄 昔話で 茶を濁し
Mother, suffering from senile deterioration,
Tries to cheer herself up
By remembering her old days' memories.

炎天下 多臓器不全の ごとくある
It's very hot,
I feel like
I suffer from multiple organ failure.

気合など 入れないままに 土用丑
Not showing much spirit on the day of the ox,
Which is named after one of the twelve animals
Of the Chinese zodiac.

われ重く あなたは軽い シーソーよ
I am heavy and you are light,
We are on each end of a seesaw.


「夏休み

夏休み ありやなしやの 地球人


慰めも 安らぎも盛る うなぎ丼


追いかけて 陽炎となる 人の果て


新築の 病棟なれば くつろげる


笑うにも 腹筋痛し 玉の汗


空模様 人の心は 上の空


今日もまた 禁断の実を 盗み食う


原人の 思いに重ぬ 恋初め


炎熱を 吹きやる風を 望むべく


われもまた 奇人変人 ゴマの生え


空高く ふわり並ぶは 熱気球

傘さして 荷物の方へ 傾きぬ


前線の 上がり下がりに 縮約す


脱ぎ捨てた おのれの殻を 踏み砕く


仮初も 脱ぎ捨ててみる いじらしさ


隣人の 顔も知らずに 別れけり


意味もなく 喋れば狂人 避けるべし


座りたい 態度見よがし 優先席


毎朝 すれ違うひとに 敵意を持たず


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by nambara14 | 2017-07-30 09:28 | 五七五系短詩 | Comments(0)