丘の上から
2012年 10月 04日丘の上から
ここから見える景色を目に焼きつけなさい
毎日石段を登って丘の上に立って見下ろした街
低い丘でもこの辺では展望台の意味合いがある
極薄のフィルムを何枚も重ね合わせる細工
はじめからおわりまで記憶は不正確だ
それを重ねればあいまいさは増幅される
スケッチブックに向かって写生をする
ふと目を上げれば火の見やぐらが見当たらない
写真を撮り動画を写して風景を正確に固定する
台風が大木を倒せば撮り直しが追い付かない
眼をつぶると鮮明な映像が浮かんでくるが
日付も場所も特定することができない
何度も何度も確かめて補修した原画も
ちょっとしたはずみで変色し変形し反り返る
だれも本物を定めるだけの根拠は出せないが
捨てられないという執着だけは強まって来る
by nambara14
| 2012-10-04 20:08
| 新作詩歌(平成24年)
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