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流れのダンス



     流れのダンス



      濫觴に口をつけ

   よみがえった蝶は たちまち舞い上がる

      不規則な曲線を描いて

消え失せた方へと 後を追って 鱗片が飛び始める

水は波紋を成して 歌い始め 飛ぶものを導く

   雨粒が落ちて 小川の面を打つ

      なめらかな川底から

   薄緑の苔が生え 流れのままになびく

大きく蛇行するはずみに 川べりはえぐられ 水は跳ね出す

      たっぷりとした水量で

   魚もすばやく泳ぎ回り タニシやザリガニも憩う

      もちろん針の先がぼんやり浮かんだり

   甲高い声とともに ひるがえる小さな手もある

逃げようとするとき 流れは二つに分かれて 分岐点では戸惑う

   ふと大きなアゲハチョウが ゆったりとした模様を描くのが目に入る

風がひゅうひゅう 流れを波立てて 呼びかけるさなかに

      やがていくつかの川が合流する地点にさしかかる

溢れ行く水がうねりながら だれにともなく手を振り 蝶は再び見えなくなる 
   

  
by nambara14 | 2012-06-22 18:02 | 新作詩歌(平成24年) | Comments(0)