行き先
2010年 05月 08日行き先
こんなに透き通った眼
こんなにやわらかな指先
かすかに浮かぶほほえみ
ひかえめだけれどしっかりした足取り
つつじが咲き乱れる垣根を抜けて
犬を連れているひとびとを追い越し
小道を急ぎ足で大通りへと向かう
行き先はだれも知らない
今そのひとの生きている時間と空間を
このうえなくかけがえのないものだと
知っている風がやさしく吹き渡っていく
そんなにも神経が張り詰めてしまって
かすかなつぶやきさえ聞き逃さず
痛みから発する匂いのようなものを嗅ぎ取って
by nambara14
| 2010-05-08 14:11
| 新作詩歌(平成22年発表)
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